スコットランド独立、欧州に波紋を広げる
先月18日に実施された英国北部スコットランドの独立の是非を問う住民投票は独立派が敗北し、英国に留まることとなった。事前の世論調査では、独立賛成派が過半数を占める結果が出たことにより、英国経済に対する不安が広がり、ポンドが大きく売られることとなったが、実際の投票では反対派が勝利し、ポンドが現在急激に反発している。
そもそも、スコットランドは氷山の一角に過ぎない。今回の独立投票は欧州内に潜在的に存在する地域主義を浮き彫りにした形となった。英国では、独立を阻止するためにスコットランドの自治権拡大を約束したために、北アイルランド、ウェールズなど各地域も自治権拡大を求める動きが大きくなる可能性がある。
ベルギーではフランス語圏とオランダ語圏で長らく対立しているが、今年の5月にオランダ語圏の分離独立を求める政党(新フランドル同盟)が第一党に選ばれ、分離独立の機運は強い。スペインに目を向けると独自の歴史と文化を持つ、カタルーニャ自治州で50万人による独立を求めるデモが行われ、その動きと呼応し、自治州政府は11月9日にも独立を問う住民投票を中央政府の反対に関わらず実施すると発表した。
カタルーニャ州は産業が発達しており、一州だけでスペイン経済の大部分を担っている。また、2008年に発した金融危機をきっかけに、スペインは未曾有の不況に入っているが、カタルーニャの独立はスペインの経済問題を更に深刻化し、スペイン経済のみならずユーロ圏全体に大打撃を与える可能性が高い。スペインは上記のカタルーニャのみならず、バスク地方などの地域で独立運動が盛んだ。ほかにもイタリア、フランス、ドイツなど欧州全域で独立や分離を求める声は多い。今回の投票はこれらの動きを更に後押しするものと見られ、今後もユーロ圏からは目を離せない。
(在NYエコノミスト チングーン・ボロルマー=写真、l.cbolormaa@gmail.com) (次回は11月第2週号掲載)
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