L―1保持者を雇用している会社への移民局による会社査察が現実に(その3)
前回、前々回に引き続き、移民局により最近開始されたL―1保持者を雇用している企業に対する予告なしの会社査察について紹介します。
前回まで、実際に監査となった会社は、監査対象の従業員個人、更には会社側について、実際に申請し認可された申請書の内容は真実に基づき、正確で、詐欺が無いかどうかを確認されることになります。そのような状況の中、会社またビザ保持者は監査に対してどのような備えをしておくべきでしょうか。
まずは、普段から常に監査対象となる事を意識して準備を整えておく事です。この意識はとても重要です。前回の記事でも紹介しましたが、監査は会社の規模に関わらず無作為にも選ばれます。またFDNS監査官が会社を訪問してきた際、その監査官の身分証明書、またはビジネスカードを確認する事も念頭においてください。もしその監査官の身元に不安を感じる場合、監査官のビジネスカード内に記載されている電話番号に電話をかける事です。
一般的に監査官は申請書のコピーを持っているはずで、少なくとも会社の代表や人事担部長などに質問する事を求めてきます。監査の間、会社の責任者は、詳細にメモを取る事も重要です。もし監査官に何かしらの書類を提出した場合、その提示した書類のリストの記録とともに、コピーをとっておく事もまた大事となるでしょう。更に監査官が写真を撮ったとすれば、そのコピーを送ってもらうようお願いする事も出来るでしょう。
更に、監査において、代理人となっている弁護士に対応を依頼する事も可能です。とりわけ特定のケースで弁護士を通して申請していた場合(申請においてG―28というフォームを提出しているはずです)、監査官による監査中、弁護士をその場に呼び寄せる事が可能かお願いする事も出来ます。ただ弁護士が予告無しの監査に対してすぐに現場に駆けつける事は非現実的であることは否めません。なお、監査官に対し、担当弁護士の都合の良い日時にあわせて監査日の変更を求めても、それは一般には認められません。一方で、電話などを通して担当弁護士に可能な範囲での対応を求める事は受け入れてもらえる事でしょう。
(次回は12月第2週号掲載)
〈今週の執筆者〉
弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law)
NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員
アメリカ移民法弁護士協会会員
1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。
〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800
Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com