「噛む」ことの重要性
普段当たり前のように行っている「噛(か)む」という行為。皆さんは意識したことがありますか?
時間をかけてよく噛んで食べることが、食事誘導性熱産生やグルコース代謝を促し、高血糖や肥満を改善することが確認されています。また、歯が無いと糖尿病や心臓、消化器官の疾患率が増えたり、眠れないなどの悪影響が起きることが2013年の「International Journal of Dentistry」の調査で発表されていることからも、「噛む」という行為がいかに健康にとって重要なことなのかが分かるかと思います。
●歯並びが悪くなる原因
歯並びが悪くなる原因は遺伝的な影響よりも、幼少時からの機能異常や悪い習慣など後天的な要素の方が強い影響を与えるといわれています。
乳歯の虫歯は永久歯ではないので気にしない親も多いようですが、歯並びを悪くする一因になります。なぜなら、永久歯が出来上がる前に虫歯でどうしても乳歯を抜かないといけなくなると、もともとの歯の位置がずれ、永久歯が生えるためのスペースが狭くなり歯並びに悪影響を与えるからです。
また歯並びが悪くなる他の要因には乳歯がいつまでも抜けない乳歯晩期残存や、口呼吸、唇を閉じずにポカンと口が開いたままの状態、指しゃぶり、歯ぎしり、また悪い姿勢などが挙げられます。
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食事をする際、噛むバランスは非常に大切です。虫歯や歯並びの治療で時間とお金がかかるからと、一部分しか治療しない方が多いです。そうすると治療していない歯を避けて噛むことになるので、噛み合わせがどんどんずれていってしまいます。また、目で見える前方の歯ばかりを気にして、奥歯の虫歯を放置する人も多いのですが、奥歯を抜いてしまうと結果的には前方の歯並びも悪くなってしまうという悪循環になります。全ての歯を大切にして、健康な歯だけでなく健康な体も手に入れましょう!
(次回は1月第3週号掲載)
〈筆者プロフィル〉石橋香也子(いしばし かやこ) ニューヨーク大学歯学部卒業。ルーセラン・メディカルセンターで一般歯学の臨床研修課程修了。
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