「小さな出費」を大きな視野で 出ていくお金を正確に把握しよう
私たちは日々なにげなくお金を使っています。なかでも食費や日用品費、交際費などは、1回1回使う金額が小さいだけに、その重みを実感しづらいように思われがちです。
個々の出費やその日1日の支出を見るだけでは、それが多いのか少ないのか、自分の収入に見合っている支出かどうか、適切に判断するのはむずかしいことなのです。
たとえば、安くて美味しいと評判のお店で5000円の飲食代を使ったとしましょう。お店の雰囲気もいいし、お酒や料理も美味しい。自分にとって楽しい時間が過ごせたと思えるなら、それはそれなりにリーズナブルといえます。しかし、そのような機会が月に10回以上続いた場合、1カ月の合計でかるく5万円を超えてしまいます。1回1回の飲食代だけを見れば安上がりなはずなのに、それが積もり積もってふくらみ、結果的に大きなムダ遣いを生み出してしまう…。その結果、月末にはなぜだか明確な理由がわからず、お金が足りなくなってしまう。そんな経験をした人は多いのではないでしょうか?
このような小さなお金でも、家計簿でお金の記録・集計をして、月ごとにまとめて少し大きな単位で見てみると、様子が違ってくるのです。何にお金を使いすぎているのか、どの出費を削ればいいのかが見えてくるようになるでしょう。
お金を着実に貯めるには、出ていくお金を正しく把握することが大切だと、私は考えています。そして、個別の小さな出費を大きな視野でとらえることができれば、これまで気づかなかった意外なムダ(浪費)に気づいたり、現在自分の財布がどのような状況にあって、今後何を目標にしていくとよいかを、確認することができるのです。
「小さなお金」を大きな視野でとらえること。これこそ、私たちが「お金の教養」を身に付ける近道なのです。
皆さんも、出ていくお金を正しく把握して、お金を着実に貯めていってくださいね。
(次回は1月10日号掲載)
〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac