行けば行くほど二次がんに
“病院にかからない健康法”の筆者が更にお伝えしたいことがあります。経済協力開発機構(OECD)の発表によると、1年間の病院への通院回数を各国別で調べたところ、日本は13.4回でトップ。福祉先進国と言われるスウェーデンではわずか2.8回でした。
「スウェーデンは、治療よりも生活習慣などの予防医学に力を入れている一方で、日本人は何でもかんでも病院に行き、検査を受けます。病院や人間ドッグで、『要精密検査』と判定されたからといって、すべてがただちに治療が必要というわけではありません」(医療統計学などの専門家で新潟大学医学部教授(予防医療学)の岡田正彦氏)
人間ドッグの検査で特に問題視されるのは、レントゲン検査。会社や自治体などで行う一般的な健康相談では、胸部X線写真は1枚ですが、人間ドッグでは2枚は撮ります。また、食道や胃のレントゲン検査ではがん検診が7枚に対し、人間ドッグは8枚以上。当然、放射線の被爆線量は多くなります。
「食道や胃の場合、人間ドッグの被ばく線量は通常のがん検診の4〜5倍。胸部レントゲン検査と比べると、800倍前後になります。そのため人間ドッグを毎年受けている人たちは、二次がん(医療が原因となって起こるがん)になりやすく、そのことが人間ドッグで見つかるがんの割合をさらに押し上げてしまうという傾向があります」(岡田氏)
「X線による被ばくや薬の多投与など、現代医療の過剰な検査と治療により、たとえその病気が早期発見によって治ったり、症状が治まったとしても、薬の副作用などで別の病気を起こしている現実があります。総合的に見れば、がんの早期発見、早期治療が人の一生の健康にとって絶対とは言えません」(岡田氏)
人間ドッグに入った方なら経験があると思いますが、すべて正常数値、ということはまずありえません。人間ドッグはある意味、「病気のお墨付き」をもらうためにいくようなものだと思った方がいいでしょう。 (次回に続く)(筆者が寄稿したアスパラクラブ通信からの抜粋)
(次回は2月第3週号掲載)
〈プロフィル〉鈴木眞(すずき・まこと) 1935年生まれ。58年早稲田大学卒業。総合商社開発課長を経て日米合弁企業マーケティング担当取締役、日独合弁企業社長を歴任。のち脳血栓に倒れる。ゲリー・マーチン博士の指導によるビタミン・ミネラル投与法を実践して健康の回復に成功。米国ネーチャーズサンシャイン社日本代表などを務めた後、88年米国エルダース栄養科学研究所を設立して独自ブランド「M10-8」シリーズのサプリメントを開発。米国栄養薬理学界会員、栄養学博士(Ph.D in Metabolic Nutritional Science)。
【ウェブ】www.eldersinternational.org