対話の力(15)〝提案〟(その1:ヒラメ社員)
こんにちは。COACH Aの竹内です。
我々は部下や同僚に、日常的に仕事の指示やアドバイスをしています。仕事を効率よく進めるのに必要なコミュニケーションだと思います。
しかし一方で、上司からの「指示待ち社員」の多さを揶揄し、そういった部下を“ヒラメ社員”と呼んでいる記事も最近、目にします。実際、“ヒラメ社員”ではなく、もっと主体的に考え、行動できる社員に変貌していってもらいたい、と願う経営者の方々の声をよく耳にします。
今号では、指示・アドバイスではなく、相手に新たな視点を持ってもらうため、または主体的な行動の選択肢を広げていただくための「提案」についてご紹介します。
私は以前、相手の話を聞いていると、どうしてもその先の展開を想像してしまい、「それはああした方がいいですよ」とか、「こうしてみるときっとうまくいきますよ」などと、ついついアドバイスしてしまっていました。しかし、これでは、相手の考える機会を奪ってしまうことになりかねず、場合によっては拒否反応まで生んでしまいます。また、こうしたアドバイスを繰り返していくと、相手は徐々に自分で考えるのをやめ、次第に私(の意見やアドバイス)に依存していってしまうこともあります。「次のアドバイスは何ですか?」と。つまり、冒頭でご紹介した“ヒラメ社員”を生んでしまうことになるわけです。
コーチングでは、まず質問を投げかけ、相手に考えつくしてもらった上で、新しい視点が必要だと感じた時を見計らって、提案を行います。その提案どおりにしてもらうことが目的ではなく、あくまでも相手の選択肢を広げるためのものです。
皆さんは、普段どんな提案をしていますか? 次号では、具体的な事例を含め、どんな提案の仕方が機能しやすいのか、また注意点などをご紹介したいと思います。
(次回は2月第4週号掲載)
〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。
【ウェブ】www.coacha.com/usa/