日本人だけが信じるウソ
「従来は正常の範囲だった数値が、近年では国の生活習慣病対策に合わせて「異常」や「要注意」にひっかかるようになっている。黄信号どころか、青信号の点滅や点滅前でも異常や要注意になってしまうのです」(東京・足立区、柳原ホームケア診療所所長の川人明医師)
地域医療で数多くの健康診断を担ってきた、天理よろづ相談所病院(奈良県)元副院長の今中孝信医師も、過剰な検査弊害を憂うひとりです。
「人間ドッグでがんが早期発見されることがありますが、ドッグで見つかるがんは緊急性のないものばかりだということを見落としてはいけません。緊急性のあるものは、ドッグにかかる前に発見しています。ところがドッグで一度でもがん細胞が見つかったら、緊急性もないにもかかわらず、すぐに治療を受けたり、経過を見る場合は定期的に検査を繰り返すことになる。がんが“悪性”に変化してしていないか日常的に怯え、医者から「大丈夫です」といわれるまで、大変なストレスのもとで暮らすことになるのです」
これらのストレスが、本来は健康だった人を病人に変えてしまうケースが少なからずあります。現場の医師たちは、そう力説してやまないのです。
近年騒がれるようになったメタボ検診も、疑問だらけといえます。
「メタボリックシンドロームの診断基準は8つの学会が共同で決めていますが、根拠に説得力がないために批判的な意見が数多く出ています。メタボ検診では血圧、血糖、中性脂肪などの値を測り、そこでひっかかると投薬となることが多い。つまり基準が厳しいほど、製薬会社は薬の需要が増えて「ありがたい」わけですが、その基準を作る研究室には、寄付金という形で製薬会社から巨額の研究費が流れているのです」読売新聞の医療担当記者で、「メタボの常識・非常識」の著者である田中秀一氏はこう指摘しています。(筆者が寄稿したアスパラクラブ通信からの抜粋)
(次回は3月第3週号掲載)
〈プロフィル〉鈴木眞(すずき・まこと) 1935年生まれ。58年早稲田大学卒業。総合商社開発課長を経て日米合弁企業マーケティング担当取締役、日独合弁企業社長を歴任。のち脳血栓に倒れる。ゲリー・マーチン博士の指導によるビタミン・ミネラル投与法を実践して健康の回復に成功。米国ネーチャーズサンシャイン社日本代表などを務めた後、88年米国エルダース栄養科学研究所を設立して独自ブランド「M10-8」シリーズのサプリメントを開発。米国栄養薬理学界会員、栄養学博士(Ph.D in Metabolic Nutritional Science)。
【ウェブ】www.eldersinternational.org