〈コラム〉「COACH A」竹内 健 「対話で変える!」第16回

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対話の力(16)〝提案〟(その2:適切なタイミングとは?)

こんにちは。COACH Aの竹内です。コーチングにおける「提案」は、相手に「新たな視点」を持ってもらうために行います。今号では、具体的な事例を中心にご紹介します。
ある会社の事業部長Aさんは、営業のトップパフォーマーで、約20名の営業チームを率いる立場に昇進したばかりのBさんにコーチングしています。Bさんのテーマは、自分のような営業スキルをメンバーに身につけてもらうことです。
「みんな私の言うとおりに営業しようとして、それ以外のことを自ら考え、工夫しようとしない。どうしたらいいものかと」
以前であれば、「君の経験をもっといろいろ話してみるのはどう?」、「チーム全員を集めて議論させてみてはどうだろう?」など、次々と矢継ぎ早にアドバイスをしてしまったAさんですが、ここはグッと抑えて、「質問」をしてみることにしました。
「自ら考えて工夫できる営業マンは、どんなことを意識していると思う?」「君がトップパフォーマーになったきっかけは何だったの?」
するとBさんは、試行錯誤をしながら自分のパフォーマンスを上げていった過程を振り返りながら答えました。その後も、Bさんはいろいろ頭を巡らせましたが、常に自分自身の視点からのみ営業を語っているようにAさんには見えました。
そこで、Bさんに「提案」することについて同意を得た上で、「自らの営業スキルについてどう認識しているのか、まずは彼らに尋ねてみるのはどうだろうか」と「提案」してみました。Bさんは、「なるほど。そもそも彼らがどう捉えているのか、自分のスキルに満足しているのか、彼らに聞いてみないと分からないですね。早速聞いてみます」と、その「提案」を受け入れました。
この事例では、Aさんはまず「質問」を繰り返すことで、Bさんが考え抜くことを優先し、その上で、「新しい視点」や「選択肢」を持ってもらう必要があると感じたタイミングで、「提案」を行いました。その結果、Bさんは他のメンバーたちがどう考えているのかを理解するために彼らの自己認識を聞いてみる、という新たなアプローチを自ら選びました。
このように、「質問」された上で「提案」されると、まず自分の意見がリスペクトされた、自分に関心をもってもらえたという気持ちが高まるため、「提案」が受け取りやすくなります。
ぜひ皆さんも、タイミングを見計らって、効果的な「提案」をしてみてください。
(次回は3月第4週号掲載)

02222coach_a 〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。
【ウェブ】www.coacha.com/usa/

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