〈コラム〉北米伊藤園企画「なるほど相談室」第3回

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今月のテーマ
「異なる計算感覚?」

回答者 慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)主事、数学科教諭 ウェスト和子先生03-itoen-WestKazuko

Q:3ドル24セントの商品を買うのに、5ドル紙幣を支払った時、日本人は「5.00-3.24=1.76」と考え、1ドル76セントのお釣りを返しますが、米国人は3ドル24セントにいくら足すと5ドルになるかと考え、まず24セ03-Itoen_Sashie-3Cントに76セントを足して1ドル、5ドルにはあと1ドル足りないので、合計1ドル76セントのお釣りを戻す、と聞きました。
米国と日本とでは、計算に対する考え方や数字に対する感覚が異なるのでしょうか?
A:これは、商人に雇用されたことのある知り合いから聞いて分かったことですが、上記で「米国の感覚」「発想」として述べられているお釣りの渡し方は、商人が雇用人にお釣りを渡す方法として教えることだそうで、「米国人の感覚」「発想」というような自然な発想というわけではないそうです。
実際その人はこの方法を教えられた時、「はい、まずこれで4ドルになります」と76セントを出し、さらに「はい、これで5ドルになりました」と1ドルを出し、お客さんの出した5ドルと同じになることを見せました。お客さんにとっても分かりやすく、また暗算で間違う危険を避けるためにも上手い方法だと感じたそうです。
また、数字の呼び方で、日本語や中国語による呼び方と英語やフランス語による呼び方では大きな違いがあります。日本語では1から10までの数の呼び方さえ学んでしまえば、あとは11「じゅう(10)いち(1)」、12は「じゅう(10)に(2)」と規則に従って唱えていくことができます。しかし、英語では、10は「ten」なのに、11は「eleven」、12は「twelve」となり、10とは全く関係がありません。つまり、日本語での数は十進法が自然に身に付いた呼び方なのです。
実際、「The Number Sense」(Stanislas Dehaene著)という本には、米国では幼児が「28、29、30、31…」と数え上げていく時、「twenty- eight, twenty- nine, twenty- ten, twenty- eleven…」と間違った言い方をすることがよくあると述べられています。

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