〈コラム〉Dr. 鈴木の病める者を癒やせ【第9回】

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メタボ検診は無料

メタボリックシンドロームは、もともと高度な肥満が社会的に問題視されているアメリカで生まれた考え方ですが、それ自体が病気を指すわけではありません。また、日本人にとってこの検査がどこまで必要なのかも不明です。読売新聞の医療担当記者で、「メタボの常識・非常識」の著者である田中秀一氏は、「アメリカより基準を下げてまでメタボ検診を行う必要性は、ゼロではないにせよ、かなり低い」と言い切っています。
帯津三敬病院(埼玉川越市)名誉院長の帯津良一医師も、「昔は総コレステロールが250ミリグラムパーデシリットルより上だと危険とされていた。それがいつの間にか220ミリグラムパーデシリットルまで引き下げられています。かつては「健康」だった220〜250ミリグラムパーデシリットルの間の人は、いまや『異常』な治療対象者です。220ミリグラムパーデシリットルという数字の根拠はきわめて不明確で、どなたかの陰謀のようなものも感じます」と懐疑的に言われています。
同じような疑問は、高血圧の治療においてもいえるでしょう。血圧が高いと判定される人は、人間ドッグの全受診者の半数を占めています。それらの人々は、通院をして血圧を下げるための降圧剤を飲むことになります。しかし、薬でいくら血圧を下げても寿命が延びることはありません。むしろ副作用で短命になってしまうことさえあるといいます。その恐ろしさを、医療統計学などの専門家で新潟大学医学部教授(予防医療学)の岡田正彦教授が指摘しています。
「長年飲み続けた人は、心筋梗塞、自殺、事故などで死亡する割合が高くなっていることがわかっています。理由はさまざまですが、ある種の降圧剤はコレステロール値や中性脂肪を上げてしまう予期せぬ作用があるのです。自殺や事故が増えるのは、血圧が下がり過ぎるためではないかと推定されています。これらは副作用ではなく、血圧を薬で強引に下げたために起こる反作用と言うべきでしょう。類似の現象が、糖尿病の薬にも認められています」とも言われています。    (次回に続く)
(筆者が寄稿したアスパラクラブ通信からの抜粋、一部「週刊現代」引用)
(次回は4月第3週号掲載)

0719-eldersDr Suzuki Picture 〈プロフィル〉鈴木眞(すずき・まこと) 1935年生まれ。58年早稲田大学卒業。総合商社開発課長を経て日米合弁企業マーケティング担当取締役、日独合弁企業社長を歴任。のち脳血栓に倒れる。ゲリー・マーチン博士の指導によるビタミン・ミネラル投与法を実践して健康の回復に成功。米国ネーチャーズサンシャイン社日本代表などを務めた後、88年米国エルダース栄養科学研究所を設立して独自ブランド「M10-8」シリーズのサプリメントを開発。米国栄養薬理学界会員、栄養学博士(Ph.D in Metabolic Nutritional Science)。
ウェブ】www.eldersinternational.org

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