補習校を続けることの意義を考えよう
「継続は力なり」を実感してほしい
補習校では卒業式・修了式が終わり、進級の時期を迎えています。これを機に、帰国して日本の学校に進学する子どもがいる一方で、退学する子どもも目立ちます。現地校に専念するためというのが、その理由の一つです。
具体的には、(1)海外に来て間もないため現地校の学習についていけない(2)中学や高校に進学し宿題が増えたり課外活動が厳しくなったりした(3)補習校の学習内容が難しくついていけない(4)補習校に仲のよい友達がいなくなった―などが挙げられます。いずれの理由も本人にとっては大きな問題ですし、親も子どもを説得しきれなく、退学に至ったものと思われます。
しかし、補習校を退学すれば、これらの問題は解決するのでしょうか。生活には余裕ができ、ある意味では解決したといえるかもしれませんが、失うもののほうが大きいと思います。
補習校では、海外にいながら、日本語で学び、日本の文化に触れ、日本の子どもたちと交流できます。これらは子どもが将来、日本人や日本と関わって生きる資質を身につけるためにとても大切なことです。近い将来帰国する子どもにとっては、日本の学校や企業などでの生活が待っています。帰国予定のない子どもにとっても、日本人や日本の社会と関わることは予想されます。
現地校や補習校の学習についていけないことは大変だと思いますが、それを克服しようという努力が大切です。仲のよい友達が帰国していなくなるのは寂しいことですが、新しい友達とつき合うことによって新しい世界が広がります。
私の勤務する補習校の高等部では、幼稚園から補習校に通い続けた生徒が、毎年数人卒業します。その生徒は13年間、つまり現地校と同じ年数を補習校でも過ごしたことになります。
卒業生に卒業時の心境を聞くと、「上級学年になればなるほど、楽しいことより辛いことのほうが多くなったが、ここまで頑張ったのだから続けようと踏ん張った。続けてきてよかった」と誇らしげに語ってくれます。また、「日本語での学習では理解できていないこともあるが、日本の社会で生きていける程度の日本語力や教養は身についている」と、補習校での学習成果を確信しています。また、「補習校で、日本の流行や日本人の考え方が理解できた。また、補習校ではリーダー的な存在になることが多く、リーダーシップが身についた」と、補習校での生活も役立ったとも言及しています。
「継続は力なり」の言葉通り、日本語だけではない大きな力となっているようです。
(次回は4月第4週号掲載)
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