〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第82回

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ベストの活用

drink_beverage_141897これから日に日に春本番、暖かくなっていきますが、日本でいうなら三寒四温、日によってはまだまだ寒い日もありますよね。気分的にはコートも少し軽いものに替えたいところです。このような時にとても便利なのがベストなんです。
たかがベストと思われるかもしれませんが、ベストのことを英国では“ウエストコート”と言ったりもするのです。ベストは、共布のスーツをスリーピース着ることによってスーツの格を上げてくれるアイテムなんですが、もう1点、たかがベスト1枚とは思えないほど暖かさ、保温性があるのです。
以前とは異なり、既製品レディ・トゥ・ウエアのスーツにおいてスリーピースは残念ながらあまり見なくなってしまいました。特にグレーフランネル、コーデュロイ、ツィードといった生地、素材についてはスリーピースでお持ちになられておくと、上着、ベスト、パンツをバラして活用できるのですとても便利。なにもスリーピースだからと言ってスリーピースで着なくてはいけないということはないのですね。
ここで記した3種類の生地についてはぜひともお仕事だけではなく、普段、ウイークエンドの装いにも活用していただければと思います。
既製品のスーツでスリーピースがほとんど見られなくなったと書きましたが、単品では逆に増えてきているように思います。秋冬に入荷して値下げになったベストがまだ店頭にあるかもしれませんので、チェックされて見られてもよいでしょう。
一時、日本においても襟付きのベストが流行(はや)り、テレビに出演している人たちの間でも流行りました。どちらかと言えば襟付きのベストにはカントリーなムードがあるとも言われ、襟のないものがシティー向きなどと言われることもありますが、あまり気にされなくてもいいです。カントリーとはウイークエンドの装い、シティーとはウイークデーのビジネスウエアを意味します。既製品のサイズが合わない方もおられるでしょうが、ベストの身幅調整はもっとも簡単な“お直し”の一つです。それではまた。
(次回は4月11日号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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