〈コラム〉さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第29回

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~遺伝子疾患の着床前診断方法:単一遺伝子疾患(シングル遺伝子疾患:Single Gene Disorders)の着床前診断(4)~

患者特有の型の形成・設定の精度で着床前診断の正確性の確率が分かる

前回からは、家系から派生する特定の遺伝疾患を検査するシングル遺伝子検査の着床前診断のためにの各患者様の特有のプローブ(型)作りのセットアップについて説明を開始しています。
前回は、遺伝子分析リポートをまず提出していただき、患者様とそのご家族、そしてパートナーの方からDNAを採取し、その標本をもとに、当該遺伝子疾患のための着床前診断を行う基礎となる患者様特有のプローブの形成・設定の方法論について説明しました。
この患者様特有のプローブの形成・設定の精度により、当着床前診断の正確性の確率がパーセンテージで知らされます。この正確性の確率は、遺伝のコンディション、細胞のタイプ、関連しているマーカーの数によって異なってきます。通常は、シングル遺伝子検査の着床前診断は95~98%の精度が標準です。つまり2%から5%は誤診がありえることになりますが、これは遺伝子やマーカーの交叉や対立遺伝子の脱落による遺伝子材料の損失などによって起こりえます。正確性の確率は、上記の基本設定の状況に加え、各体外受精サイクルのそれぞれの受精卵によっても変わります。正確性が落ちる受精卵に関しては、着床前診断リポートに注釈として「当受精卵に対する診断の正確性は落ちるため移植をする場合は同意が必要である」と明記され、移植に対して注意が促されます。
各患者様の特有のプローブ作りのセットアップが完了し、関連しているマーカーが分かれば、生体検査は受精卵0(ゼロ)日から受精卵5、6日目の間に行うことが可能、そして、それぞれの受精卵のステージによる結果を得ることも技術的に可能ですが、現在、生殖医療業界で最も普及している生体検査は、3日目の細胞分割ステージの胞胚(桑実胚の割球の再配置によって生じる初期段階の胚で中空の旧状体を形成している胚)に対して行われているようです。各胞胚は母方と父方の遺伝子情報を含有しています。この時点の6〜8細胞に分割している胚の一つの細胞を、胚自体から取ります。通常、受精卵5日目には結果がわかるため、同サイクルでのフレッシュ受精卵移植が可能です。
しかし、数えるほどの細胞にしか分割していない受精卵は通常、生体検査を嫌います。その為、最近の臨床現場では、胚盤胞による生体検査が次第に主な方法論と変わってきています。(次号に続く)
(次回5月第1週号掲載)

sakura life profile Photo〈プロフィル〉清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。
【ウェブ】www.sakuralifesave.com/

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