レインコートについて
日本に春夏物のご注文をいただきに出張しており、先日戻りましたが、すっかり春らしくなって、ちょっとうれしくなってしまいました。(笑)
ただし、春先は天候や陽気が安定せず、急に雨になったり、寒くなったりと気を付けなければいけませんが、そんな時に重宝するのがスプリングコートなんですね。と言いましても、Spring coatは英語の辞書では見つからず (Spring wearはありますが)、和製英語の一つのようなのです。昨年来、日本では女性にトレンチコートが大人気のようで、先日、桜咲く東京においてもびっくりするくらいたくさんの女性がトレンチコートを着て街を歩いておりましたが、男性ももちろん、トレンチコートで結構なんですが、より気楽に気軽に羽織れて親しみを感じられるのが、日本ではステンカラーと呼ばれている、よりシンプルなデザインのレインコートなのかもしれないと思っています。で、しつこいですが(笑)、実はステンカラーは、英語では“バルマカーン”と言い、一般にはバルカラーまたはもっと短く、バルとも呼ばれております。
日本製のレインコートは、コートのシルエットを横から見ますと筒のようで、これでは機能の一つ、すなわち、足さばきを妨げず、スラックスの裾など足元を濡らさないという点について良い点数が付けられないのです。素材については、昔からの素材ですが、綿でギャバジン、またはポプリンといった防水と同時に浸透性に優れた素材をオススメしたいです。色につきましても、ぜひ、ベージュやオフホワイトなどの春らしい、軽快な色あいがよろしいかと思います。レインコートなので、あまり汚れは気にしないでいいとも思うのです。風避け、また重ね着による防寒性、また防水性と全天候型で活躍が可能です。そしてさらに、着ているものに何か予期せぬダメージなどが起きたら…。レインコートが上手にそれを隠してくれることでしょう(笑)。いざという時のために、ワードローブに加えておいて損はありません。それではまた。 (次回は4月18日号掲載)
〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。