「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第39回
タックスリターンの申告期限が迫ってきましたが、皆さん、申告は済まされたでしょうか? ほとんどの方は、タックスをなるべく少なくしたいので、いろいろの控除につ いてご質問をいただきます。今回はその控除のうち、扶養控除というものを説明いたします。
扶養控除というのは、扶養家族各1人につき、一定額の控除がとれるという制度です。2014年は3950ドルの控除が取れます。この金額は納税者本人、配偶者にも認められますが、その場合は人的控除と呼ばれます。家族であれば、全て取れるのかというとそうではなく、税法上、扶養控除を取るには五つのテストをすべて満たさなくてはなりません。細かい規定や例外もありますが、簡単に説明すると次の通りです。
◇リレーションシップ・テスト
三親等以内の親族、また1年間同居していること。子供や兄弟などは1年の半年以上を納税者と同居している必要がありますが、学業や病気による1時的な不在は例外とします。
◇サポート・テスト
扶養家族の生活費の50%超をサポートしていること。複数の納税者が1人の被扶養者に対して合わせて50%超のサポートしている場合、そのうちの誰も単独では50%以上のサポートをしていない場合であっても、例外的に、サポートテスト以外のほかの4つのテストを満たしていれば、単独で10%超サポートしている納税者1人が協議の上の合意によって扶養控除をとることができます。
◇グロスインカム・テスト
扶養控除(2014年度3950ドル)の額未満のグロスインカムであること。ただし、18歳以下の子供、またはフルタイムの学生である場合は23歳以下(12月31日時点)である場合は、グロスインカムが、扶養控除額を超えていても構いません。ここで言うグロスインカムとは非課税所得は含みません。
◇ジョイントリターン・テスト
被扶養者が既婚の場合、その配偶者とJOINTRETURN(夫婦合算申告)をしていないこと。
◇シティズンシップ・テスト
アメリカ市民またはアメリカ、カナダ、メキシコの居住者であること。
以上、基本的には五つのテストを満たすと扶養控除がとれるのですが、高所得者の場合は全額が認められず、段階的に減額させられます。2014年度では、夫婦合算申告の場合、30万5050ドルを超えると2500ドル増加するごとに人的控除と扶養家族控除が減額されます。
アメリカに長く住む上で、タックスリターンについて控除の知識をつけることは、かなりの武器になります。皆さんの成功をお祈りします。
(次回は5月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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