〝心は形をつくり、形は心をすすめる〟
(前回号に続くパート2で〝形は心をすすめる〟)
多くの患者さん達は、体の痛みだけではなく心の痛みを引きずって来院されます。理由は、筋肉が硬直、骨格がズレ、体に痛みが生じてくると、体調不良、不定愁訴、やがて心も悩んでくるからです。数年数カ月も、病院、ハリ、カイロ、PC(フィジカルセラピー)その他の治療院等を訪れたものの、良くならない慢性痛を抱えながらの毎日は辛いことです。仕事に行くのが嫌になったり、人に会いたくない、1人で部屋に閉じこもり、鬱(精神的)になります。共通する特徴は、(1)体全体の筋肉や靭帯がいつも硬直している(2)寝違えたり首が回り辛い(3)無気力感や頭痛に悩む―ことです。いわゆる心身症状が出てきます。骨盤を基底にした体全体の骨格がズレ・捻転し、足の長さが違っていたり、左右の肩の位置が違い、関節の痛み、突っ張り、筋肉が硬直しているのも共通しています。結果的として、体の免疫力=自己治癒力が押し込められ、不定愁訴になります。然るに「健康な体に健善な心が宿る」という、心=体の原理原則からして、体を元の自然なバランスの良い状態に戻せば、自己治癒力(免疫力)が高まり、体調が良くなります。もちろんその過程において体の痛みはなくなり、体の健康は回復されます。結果的に、心が晴れ晴れとし、爽快な人生を取り戻せるのです。
[実例]Mさん(フィリピン女性、医療業務):17歳頃から腰痛があり悩んでいた。病院でレントゲンやMRIを何回も撮った。医師からはオーソライデスと診断されていた。6カ月前から腰に激痛が走るようになり、ニューヨークにある各種の病院やハリ治療、カイロ、PC、マッサージ治療院等に通った。しかし痛みが取れないので最終的に来院。病院や医師が信じられない、投げやりな態度で、体以上に心も病んでいることを感じた。Aさん(女性、20代):礼儀正しく元気。米企業でマーケティングをする。座り仕事。2年前から、腰痛で苦しんでいる。人生が楽しくない。病院でPCを紹介され、数軒通院したが、良くならなかった。
両者に共通する特徴は、(1)長年の体の痛みや筋肉の硬直で、仕事や日常生活に支障をきたしている(2)骨盤転位が原因の体の歪み・捻転・アンバランスがひどい(3)長年にわたり精神的苦痛や心の痛みを引きずりながら生活をしている―こと。
これらの患者さんに対しては、「体=心」の根本原則に基づき、(a)筋肉靭帯の硬直を緩解し、(b)整体で「骨格のバランス」を整復する。これによって、(c)体を流れるエナジー「気血水」が高揚、(d)免疫力が高まり、体の自己治癒力が活発化する。さらに、(e)これらの治療過程において、体の痛みは無くなり、体調が回復し、健康体になった。
結果として、健康な体に健全な心が蘇生回復されたことになります。
まさに30年前、東京のある禅寺で見た「心は形を作り、形は心をすすめる」という禅の教えの核心に触れた気がします。 (次回は6月第1週号掲載)
〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。
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