〝心と体は同時に良くなるの?〟
コラムの読者から質問がありました。答えは「心と体は同時に良くなる」です。
最近、慢性的にお腹の調子が悪い、胸がむかつくといった症状や、消化不良に悩む方が二人来院しました。お二人は痛みに耐えながら、薬(病院指示)を飲んだり、ハリ、漢方、他の治療院に数年間も通院しましたが、一進一退で完治できませんでした。体調不良は心の緊張を生み筋肉硬直や骨格バランスを歪めるのみならず、人生の楽しさを半減させていました。
心(精神)的症状としては、朝起きるのが辛い、不満で前向きに仕事に取り組めないと共に常にストレスが高い。身体的には、筋肉や靭帯が硬直して骨格が歪む、左右の手や足の長さが違う、両肩の位置が異なる、顔や体が斜めに傾いているなど。寝かせてみると体が骨盤を中心に「く」の字型に屈曲し、背骨がS字に湾曲していました。
このような時に“体には何が起こっているか?”と言うと、体のホメオスタシス(恒常性機能)が低下しています。具体的には、体のエネルギー源である、⒜(a)「気」の流れ/生命力、(b)「血」液の循環、(c)「水/津液」リンパ/免疫力、が低下しています。いわゆる自己治癒力が減退しているのです。すると体の節々に硬直や痛みが出てきたり、神経系、ホルモン、体分泌が機能低下し、イライラ、疲労感、不定愁訴、体が硬い等に悩まされることになります。同時に弱い臓器(胃腸、前立腺、子宮等)に悪い影響が出てきます。いわゆる心身症の症候群などです。
[実例]Aさん(米国人男性、40代後半):筋肉質、運動は時々する。営業で毎日忙しい。数年前からお腹の調子が悪く、腹部の硬直や違和感も感じる。様々な病院や治療所に行った。薬、注射、針やマッサージを色々と試したが、完治はできなかった。
B氏(フランス人男性、40代):弁護士、細身、神経が細やかなタイプ。仕事が忙しい時など胃腸がキリキリと痛む、下痢をする。20代の頃から様々な病院や治療院に通ったが完治しなかった。今では錠剤を飲んで騙しながら仕事をしている。何か違う所に原因があるかもしれないと思い整体治療を受けようと、当院にたどり着いた。驚いたのは申込書に記載された本人の直筆。虫めがねでなければ読めないくらいの極小な字で、細かい神経の人であることが分かった。
2人の患者に共通する症状は、骨盤の大幅な歪み、右側腸骨の内転が原因でした。骨盤がズレて転位、腰椎や脊椎が捻転し、更に背筋や腹部筋肉が硬直していました。脊椎/背骨(膀胱経の経絡)は体の基幹道路であり、湾曲、歪み、ズレ、乱整列すると、自己治癒力の機能が低下してしまいます。また腹部筋肉や肋骨周辺筋肉を硬直させ、結果として体のズレが小腸大腸を圧迫することになります。これはA、Bさん両者に共通する症状です。回復のためには、まず整体により骨格、特に骨盤バランスを整えること、すると体の気血水の流れが良くなり、収縮して硬く閉じた体が開かれ、自己治癒力が復元します。
すると痛みや硬直感が消え、体調良好、晴れ晴れしい気分で毎日を過ごせるようになるのです。このように体と心は一体であり同時に治るものなのです。
(次回は7月第1週号掲載)
〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。
過去の一覧