〈コラム〉商業リース契約:リース開始日とリース期限満了日が明確にされた手紙(確認書)

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別途に確認書を当事者の間で交わす事が最良

商業リース契約には特定のリース開始日と期限満了日が有るのが一般です。
しかし、多くの商業リース契約は、テナントが賃貸スペースに入居出来る前の家主の準備作業等がある場合があります(壁の移動、フローリングの交換等の家主が責任を負う作業)。その場合、「家主の賃貸スペースの準備作業の大半が完了した日」をリース契約の開始日とし、「その日から10年4カ月をリース期間満了日とする」等と記載されたリース契約がよくあります。このような条項がリース契約にある場合、テナントはリース契約の交渉をする時に、当事者が具体的なリース開始日とリース期間満了日を確認する目的の手紙(確認書)をリース契約書と別途に交わす事をリース契約書の条項の一つとして入れ込むのが良いでしょう。もちろん、テナントは家主の準備作業の進行状況を監査し、家主の準備作業が大半に完了した事の確認をする必要があります。
確認書は、家主/テナント関係の初期段階で特定のリース開始日とリース期間満了日を明確にし、リース契約の当事者又は当事者の権利と責任を受け継ぐ後継家主やテナントとの間の将来の紛争や誤解を避けるために役立ちます。
これらの日付が曖昧なままであると、家主とテナントはリース期間の開始日と満了日と思われる時期を異なる日付で計算している場合があります。家主とテナントの間でリース契約の開始日と満了日の食い違いがあると、テナントは家主が理解しているリース期間満了日までに賃貸スペースから退去出来なかったり、新しい賃貸スペースへ移動する事ができなくなる可能性もあります。その結果、テナントはかなりの罰金と関連する他の負債を受ける可能性があります。
さらに懸念されるのは更新オプションの条項が含まれているリース契約の多くは、その更新オプションの権利をリースの有効期限満了日前の“x”の日数までに利用しなければならない条件がある事です。テナントがリース期間満了日を確信していない場合、または実際のリース期間満了日を間違えている場合、リース更新の権利を失ってしまう可能性があります。このような更新権の機会を逃したテナントへの財務及び事業への悪影響は大きくなる可能性があります。
すべての商業テナントはリース期間の正確な開始日と満了日を確認するに当たって、またこれらの日付がリース契約で設定されていても、別途にリース契約開始日とリース契約満了日が具体的に記載された確認書を当事者の間で交わす事が良いでしょう。(弁護士 マリアン・ディクソン)
(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。
(次回は9月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉Miki Dixon & Presseau 法律事務所
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