〈コラム〉導院整体センター、鈴木規正「心​身整体道場」第51回

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整体による体のリセット(2)
自分で治す「慢性疲労症候群」

長期にわたり倦怠感があり、痛みだるさや疲れがひどく続く場合、「慢性疲労症候群」が考えられます。いかめしい名前が付いておりますが、最近当院に来る方達の中ではごく普通な症状です。微熱が出たり、喉の腫れや痛み、首のリンパ節の腫、不眠、頭痛、物忘れ、集中力の低下、筋肉の痛み、だるい、疲れやすい、気力が湧かない、むくみ、息切れ、動悸、顔が青白いなどの症状などが典型的です。
痛みや体の警告があるにもかかわらず、疲労感やストレスを無視して長期にわたり体に無理を強要した場合に起こることが多いのです。だいたいが貧血などの鉄分欠乏症や一時的症状で、ほとんどの場合はそんなに心配はありません。ただし重症の場合にはきちんと病院での検査を勧めます。しかしその前に整体による自然治療と自分で治す努力をしましょう。
なぜならば、人間の身体は本来が健康体です。無理を重ねて自ら過酷な仕打ちをしない限りすぐに病気になるものではありません。悪くなったら、原因を認識して、気をつけたりすると、本来は自己治癒力があるので自分で治すことができるのです。またこのような症状があるときは、原因を本人が認識するために病院での検診を勧めています。自分で治すためには、まず問題点を理解して、整体施術をしながら自己努力を始めることです。特に以下のようなときは本人が体調を認識して健康を予防する!という決意が大事です。
①背中を手当触診すると、背中全体が筋肉硬直・腫れている。また体がだるい、トイレに行く回数が増える、やたら喉が乾き水やお茶を飲む、皮膚が痒くなる等の症状があると、糖尿病が心配されます。
②背中を押すと、背中の肋骨(胸椎12番)周囲下部分が盛り上がり、左右の肋骨の下あたりが腫れ、痛みがある。また朝起きた時などだるい、顔(特にまぶた)がむくむ、タンパク尿や血尿などが出るなどの症状は腎炎が心配です。
③背中、特に肩甲骨の右側を押すと腫れている、痛む。また飲みすぎや睡眠不足、ストレスが大きく体がだるい、食欲不振、何もやる気がなくなる、吐き気などは肝臓機能の低下が心配です。
④右記の症状を伴い、いつも気が滅入る、不安、何をしても興味が湧かない、眠れない、食欲不振などの症状がある場合はうつ病が心配です。
自己治癒を助けるために整体治療により身体バランスをよくすること、さらに食事療法や運動が大切です。具体的には、①整体治療で体のバランスを整え②体に良い食事③運動ストレッチ④十分な睡眠時間を確保する─などの自然のサイクルに適応した生き方をすれば、体は治してくれるのです。その際に大切なことは、(a)自分が本来「健康である」認識(b)それを回復するという決意(c)何か1つをギブアップして健康のための行動を開始する─ことです。(例えば、甘い物を断つ、治るまで酒を控える等)
【実例】Gさん(日本人女性、50代):10〜15年前から腰痛・肩こりに悩まされ続けていた。上司が定年退職をして職場を去り仕事が忙しくなったが、痛みをこらえ自分をだましだまし続けてきた。が最近自分の将来を考えてみると、痛む体を押してまで、頑張り続けた自分が可哀想になった。その後急に腰痛が出始めた。痛みが非常に辛くなってきたので近所のマッサージに通った。すぐに治るだろうと思っていたら、首・肩までますます痛みが出てきたような感じがした。特に腰や首の付け根が痛み出して身体全体が硬直してきたので、病院で検査をしてもらいましたが、何もないと言われた。新聞を見ていたら当コラムがあり、整体に興味が出て来院した。整体師の話を聞いて、ここで自分自身の人生のリセット、体を一度浄化して再出発が必要であると思った。
確かに診ると、身体は「くの字に」曲がり、筋肉や靭帯が硬直しており身体全体がタオルを絞ったようにネジレていました。このような状態ではどうしても腰痛や首が回らないし、痛むのは当然です。まず、十分な説明をして、緩解指圧後、整体により骨盤を調整、骨格のバランス回復、首肩のズレを治しました。彼女は2度の来院で痛みがなくなり、今では運動や食事に気をつけ体調は良く、毎日を愉しんでいるそうです。

Nori at NYGoCenter.
〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。
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