〈コラム〉H―2Bビザ保持者への賃金支払​いについて

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米国連邦第三巡回裁判所による最近のケースに「Comite de Apoyo a los Trabajadores Agricolas(CATA)v. Perez」があり、本ケースの最終判決は興味深いものでした。
H―2Bビザは、スポンサーとなる米国企業の一時的に発生する追加の業務ニーズに対して期間限定で適用されるビザです。年間発給に上限があり、有効期間は1年で、延長により最長で3年の継続が可能です。就労先での業務ニーズが外国人労働者による一時的な期間限定のものとして生まれているという点が申請上の重要なポイントで、ここでの一時的な業務ニーズとは業務そのものに対するニーズはもちろん、就労先となる企業のある特定の外国人に対するニーズも一時的なものでなければなりません。更に米国移民法上ではH―2Bビザにおける外国人による新たな就労が行われることで既に就労しているアメリカ人労働者の職が失われたり、彼らの就労条件や報酬に悪影響を及ぼすものであってはなりません。
雇用主による特定のH―2Bポジションに対する平均賃金額決定申請に際し、2014年12月8日以降、会社提供賃金調査集に基づいたETA Form 9141(賃金決定のための申請書)が労働局に提出される場合、国民相場賃金センター(NPWC)が厚生労働統計調査(OES)に基づき賃金決定を行うこととしました。
なお、2014年12月8日より前にETA Form 9141提出を行い、会社提供賃金調査集に基づいた平均賃金の決定を受けた企業は、H―2B申請過程において必要とされている求人活動についてはその査定金額を使用しても良いとのことですが、会社提供賃金調査集に基づいて決定された賃金を使って申請された労働認定書は発行を受けることはできないでしょう。その代わり、OESに基づいた認証を受けることとなるでしょう。一方、2014年12月8日より前に平均賃金の決定を受けた雇用主の中には、特定の条件のもと、会社提供賃金調査集に基づいた労働認定書の発行が可能となるオプションもあります。
この裁判ではH―2B保持者に支払うべき平均賃金額について、本来適用すべき労働局発行のH―2B雇用賃金規則ではなく、会社提供賃金調査集によって現行賃金が定められていたことが問題視されていたのですが、今回の判決を受け、労働局は会社提供賃金調査集に基づくH―2B平均賃金の決定を取りやめることとしました。加えて労働局は、会社提供賃金調査集に基づいて決定された賃金額を使って申請された労働認定書の発行も取りやめることとしました。これは2014年12月9日に労働局の正式ホームページによりガイダンスとして発表されました(www.foreignlaborcert.doleta.gov)。当局ではH―2Bに関する規則制定を更に見直す方針です。
(次回は9月第2週号掲載

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