〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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日本語会話力向上に必要なこととは?

家庭での会話と日本語を話す子どもたちとの集団生活が大切

川遊びの説明を聞く子どもたち

川遊びの説明を聞く子どもたち

10年目を迎えた日本語・日本文化体験学習プログラム「サマーキャンプ㏌ぎふ2015」(米日教育交流協議会主催)が終了しました。今回は7月下旬に実施した第2期にて感じたことを述べます。
第2期は小中学生対象で、第1期と同様に古民家体験、寺院体験、伝統工芸体験、農業体験などを行いますが、ホストファミリーとともにいかだを作り、川下りをするのが特長です。岐阜県自慢の清流での川遊びは、子どもたちに絶大な人気があります。
第2期の参加者は19人で、そのうち3分の2が日本語での会話が難しい子どもでした。そのため、子どもたちの会話では英語が飛び交いましたし、日本語での説明が聞き取れず、何をしていいのかわからなかったり、説明中に英語で無駄話をしたりという子どももいました。したがって、当キャンプでは日本語のみを使用していますが、川遊びの注意のような重要な説明に限り英語で通訳をすることにしました。
ここで、過去10年間のサマーキャンプ参加者の様子を振り返ってみると、このような子どもは家庭で日本語を使用する頻度が低い傾向にあります。母親と日本語で会話している子どもは比較的円滑に会話ができますが、英語も併用している場合には会話力が落ちます。一方、父親と日本語で会話していても、母親とは英語のみの場合には会話力は高くはない子どもが目立ちます。また、両親と日本語で会話していても、兄弟姉妹では英語で会話している子どもは会話力が落ちますが、一人っ子の場合はそうでもないケースもあります。
日本語会話力の高い子どもの状況を見ると、学齢期に日本に在住していたとか、補習校に通学している(していた)というように、日本語で学習した経験のあるケースが目立ちます。一方で、日本語の個人レッスンを受けているようなケースでは、日本語会話力はそれほど高くはありません。つまり、日本語を話す子どもたちとの集団生活が会話力の向上につながっているということです。
(次回は9月第4週号掲載)
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