身体に痛みを感じたとき、どこに駆け込むか
〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第1回】
身体に痛みを感じたとき、どこに駆け込むでしょうか。外科に行って、場合によってはレントゲンを撮って…と思うかもしれません。実はそのレントゲン写真。結果は症状の程度と一致しないことが多いのです。実際には大きな痛みがあるのに映し出された身体の異変は小さい、あるいはその逆もあります。また、手術や薬の投与で痛みがなくなったことを完治と考えがちですが、それは根本的な解決にはならず、症状が再発することもあるのです。つまり、痛みと実際の症状とは別ものだということを理解しなくてはなりません。
理学療法(フィジカルセラピー)は手術や薬の投与などの対症療法とは違い、患者さんそれぞれの生活習慣や動作の癖を見直して、自己治癒力を高めながら健康な身体を維持していきます。私たち理学療法士はあらゆる可能性を想定して、痛みのある箇所だけでなく全身をチェックします。その結果、「肩の痛みの原因は足首にあった」「首の痛みの原因は食べ過ぎにあった」などの発見が得られるのです。負った怪我を治すのがゴールではなく、最適な動作や正しい生活習慣によって、将来怪我をしにくい健康な身体づくりをするのが理学療法のゴールです。
これから月1回、身近な症例から驚きの症例まで交えながら、理学療法に関する情報をご紹介していきます。ご自身の生活を振り返りながら、健康な身体づくりに向けて意識改革をしていきましょう。
(次回は4月第3週号掲載)
〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ) 理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/