適切に行わなかった捻挫の治療が原因
〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第4回】
先日「10年前に捻挫した足首、完治していたと思っていたのに今でもたまに痛む時があります。なぜでしょうか」という質問を受けました。こういう方に話を聞くと、当時捻挫の治療を適切に行わずに今に至っている場合が多いのです。すなわち、いつの間にか痛みが引き、歩けるようになったのでリハビリをせずに放っておいたという場合です。
この場合、足首周りのバランスがトレーニングされないままなので、正しい歩き方ができず、10年後の今でもなお、痛み再発の原因を抱えたままという状況となります。怪我の程度と痛みの程度は比例しないことが多いため、普段は痛みを感じず気付きにくいのですが、実はそれは身体が怪我を抱え続けている状態で、風邪をひくなどして起こった炎症をきっかけに痛みが戻ってくるのです。こうした方はご自身の身体の情報感覚(たとえば自分の関節の曲がり具合などを感じ取る力)も鈍っていることが多いのですが、歩き方も含めて理学療法によるトレーニングで改善することができます。
或いは「天気が悪いと(古傷の)膝が痛む」という方もいますね。これは気圧とリンパ管の関係によるものです。身体を痛めた際に一度でも傷つけてしまったリンパ管は元に戻すことができないため、リンパが溜まりやすくなります。それが気圧の変化によって違和感を感じるのです。そのような時はプールにいくと身体が楽になるのでおすすめです。
(次回は7月第3週号掲載)
〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ) 理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
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