普段と違うルーティンをセットアップしてあげる
バイオリンレッスン成功の秘訣〜第7回〜
米国では6月末からすでに夏休み。2カ月以上の長く、楽しい期間ですが、キャンプや旅行などでバイオリンの練習を毎日続けるのが難しい時期でもあります。特に、レッスンや発表会などがない場合、目標なしに練習するのは大人も子どもも、モチベーションが上がらずサボりがちになってしまうのは自然なことだと思います。
この、サボりがちになってしまうことを避けるには、まず、夏休み期間中もできる限りレッスンを続けるということが必要です。地元米国人の方の中には夏休みは楽器にも触らず、完全に休むご家族もいらっしゃいますが、そうすると新学期にレッスンを始めた時、夏休み前に弾けていたこともできなくなってしまいます。せっかく何カ月間もレッスンと練習を続けて上達したのに、長い夏休み(2〜3カ月)の間何もしないと、とってももったいないことになります。
また、子どもが姿勢や音程などの細かいことを自分で気付いて直すのはほとんど無理です。毎日しっかり練習を続けていたとしても、個人によって様々なクセが発生します。それをレッスンで先生に指摘されれば気付いて直すことができますが、レッスンが全くなければ改善されないまま、間違った弾き方で練習を続けてしまうことになり兼ねません。ですから夏休みでも、完全にお休みせず、できる範囲でレッスンは続けることをお勧めします。
さらに、米国では小さなお子さんでも参加できる音楽キャンプがたくさんあります。ニューヨーク市近辺ではアッパーウエストにある、カウフマン・ミュージックセンターや、ニュージャージー、イングルウッドのEMSの夏のストリングキャンプ等、その他様々な教育施設で行われています。ただ、これらは冬から春にかけてレジストレーション(登録)とオーディションが行われるので早めに計画を立てておく必要があります。これらのキャンプに参加する場合、準備していかなければならない課題曲が出されるので、練習をすることが必要になります。このような目標は自然と練習するモチベーションにつながるでしょう。
夏休み期間は普段、学校のある期間と違う、毎日のお子さんのルーティン(習慣)をセットアップしてあげると良いでしょう。以前にもこちらのコラムでご説明したとおり、バイオリンの練習でも、宿題をすることでも、毎日の習慣にすることによって子どもは非常に伸びます。夏休みは計画的に勉強や練習を毎日少しずつやりながら、バランスよく遊びの時間も設けて楽しく過ごせるといいですね。
(福田千尋バイオリン教室主宰)
【執筆者】ふくだ・ちひろ 福田千尋バイオリン教室主宰。東京芸大、ジュリアード音楽院を経て、ニューヨーク日系人会音楽コンクール優勝等、ヴィオラ奏者として国際的な演奏活動を続ける傍ら2005年よりハーレムの音楽学校Opus 118 Harlem School of Musicでバイオリンを教え始める。同校の若い教師を育てるためのティーチャー・トレーニングプログラムのトレーナーとして後進の指導、弦楽科のコーディネーターとしてマネージメントにも携わっている。
【ウェブ】www.chihirofukuda.com/