〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第94回

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“パンツ”について その3

スラックス [更新済み]

今回も引き続き、合わせ方についてのコツです。ご存知のようにアメリカにおいて紳士服のサイズは全てインチ表示となっております。残念ながらセンチメートルは使われておりません。多少誤差は生じますが、パンツの30インチを取りあえず76センチとし、1インチは約2・5センチとなりますので、2インチ刻みで5センチを足して行けば換算しやすいでしょう。34インチが86センチ強ということになります。

近年、カジュアルなお店においては28インチや29インチのパンツも見かけますが、スーツやジャケットなどを取り扱う紳士服店では、スラックスは32インチ(81センチ強)からの場合がまだ多いようです。

以前も書きましたが、意外にもジャケットよりもパンツの方が時代の空気を反映します。このところ以前に比べ随分とシルエットが細身のものが多くなっておりますね。細身になりますと履きこみ、すなわち股上が浅くなってくるのです。不思議なもので“慣れ”による感覚も大きいのですが、股上の浅いパンツを好まれる方と、逆に深めを好まれる方の二通りに分かれます。お腹がたっぷりされた方には股上の浅いパンツの方が履きやすく感じられる方が多いですね。

既製品のパンツのお求めの際、ご注意いただきたいことの一つは、同じウエストのサイズ表示でも、34または34Rと記されたものと、34Lと表示されているものとがあります。このRとLは股上の深さを意味し、Rはレギュラー、Lはロング、つまりLは背が高い方向けの分、股上が深くなるのです。厳密に言いますと、パンツのシルエットも変わってきます。股上が深過ぎますと、ウエストの位置が一定せず、パンツが下がりやすく、せっかく合わせたパンツの丈がズルズルに長くなってしまうのです。股上の位置が一定しませんとパンツシルエットが定まりませんし、足さばきも悪くなり、結果疲れやすくなってしまうものなのです。ご自分が一番自然に履けると感じる股上の深さを確認することが、ご自身のスタイルをつくっていく上での基本となります。それではまた。
(次回は10月10日号掲載)

32523_120089421361491_100000813015286_106219_7322351_n〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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