〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第97回

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“パンツ”について その6

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前回、鏡を見ることの大切さについて触れました。全体のバランスを見るためです。特にサイジングに関し、基本を知らずに我流が過ぎますと「on duty」の場において良い結果とならないケースが多いものです。

一つの例を流行りの細身のパンツ(スラックス)に見ることができます。現在の日本の紳士服の人気デザインは、1980年代半ばから1990年代前半の“バブル経済の時代”に流行(はや)ったデザインの“真逆”(笑)と言ってよく、細身、スリム、コンパクトetc.といった単語が目につきます。

皆さまには、日本の市場における「白黒ハッキリつけちまうぞ!!!」的な偏った品ぞろえを不気味に感じることさえおありかもしれません(苦笑)。流行りものが登場すると、売り場がそのようなデザインで埋め尽くされてしまうのですから。現状はプリーツ(タックと言うのは誤り)入りパンツや、ゆったりしたカットのジャケットを探そうとするとなかなか見つかりません。見つかったとしても怪しげなお店だったりして(苦笑)。日本では、なぜかいつの時代でも安心して着ることができる“普通”の服が偶然“流行”とならない限り、見つかりにくいのです。これで文明国家と言えるのでしょうか?

人間の体は、決して左右対称ではなく非対称であり、体形もさまざま、それ故人間なのであり、それ故に尊いのです。細身のスラックスは、確かにより軽快に若々しく見せてくれるかもしれません。良い事で間違いはないのですが、鏡を見て流行の細身のスラックスを履いたご自身を冷静に見てみましょう。バブル期のたっぷりしたパンツと同じ股下の長さにしていませんか? 股下何センチと決め付けるのはナンセンス。もし脚がX脚、O脚だったりでしたら、極端な細身は避けましょう。ルパン三世や次元大介のガニ股丸出し、カッコいいですか(笑)? 実はそこそこ太さがあれば、アイロンワークによるプレスで、O脚X脚のシルエット矯正はある程度できるのです。それではまた。

(次回は11月28日号掲載)

32523_120089421361491_100000813015286_106219_7322351_n〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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