〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第98回

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“パンツ”について その7

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ここ数回にわたり、日本の男性の多くが鏡を見てご自身の服装バランスを確認する習慣があまりないため、せっかく良いモノを着用されているのに、正しくそのように見えない場合がある、といったようなお話をいたして参りました。

典型的な例の一つがパンツの長さ、つまり丈なのですが、姿見から3メートル以上離れて見ますとご自身の全体がご覧になれるかと思います。ここで大切なことは必ず靴を履いてパンツ丈をチェックされることです。脚の疲れをひどくさせないためにはカジュアルと言えど紐(ひも)靴がベターなのは言うまでもないことですが、紐靴といわゆる紐がないスリップオンでは靴の甲の高さが靴紐を通す羽根の有無で違ってくるのです。もし長めの丈がお好みでしたら、スリップオンの靴でちょうど良いように調整をしておけば、紐靴を履いた時にやや長めとなります。そして、靴下はなるべく膝丈まであるものをオススメいたします。

パンツの裾が靴の甲にあたり、たるみが出ますことを日本では“クッション”と言うようですが、英語として正しくはブレイク(blake)と申します。一般に私たち日本人のパンツ丈は長すぎます。ブレイクは少しだけで良いのです。裾のたるみがあり過ぎますと、かえって脚の長さを短く見せてしまうことになるのですね。

それが確認できないのも、姿見を見て確認する習慣がないからなのです。

特に身をかがめてパンツの丈をご覧になられて“もっと長く…”と言われる方がおられますが、必ず“城中松の廊下”状態となってしまいます。かがんだ分、裾が上がってしまい、正しい長さが分からなくなってしまうのです。近年の既製品のパンツはアメリカにおいても小さめにカットされる傾向があり、バランス上、裾巾もかなり狭くなっており、丈を長めにしにくく、逆に裾が狭くなればなるほど、丈を短くした方が良いのです。視覚上、特に細身のパンツは、丈を短くして、裾のたるみをなくした方が脚は長く見えるものなのです。

(次回は12月12日号掲載)

32523_120089421361491_100000813015286_106219_7322351_n〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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