〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第100回

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“スーツ”について その1

ケン青木0116皆さま、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。前回(12月12日号)までパンツ(スラックス)について書きましたので、今回からはスーツ、それもポイントを上着に絞って書いていきたいと思います。

具体的に何について書こうとしているのかと言いますと、こちらで作られているスーツと日本で作られているスーツとでは、どこが、何が違うのだろうか? という疑問点についてご説明させていただき、少しでも皆さんの中でクリアになっていただければ、ということが目的です。

日本に洋服、すなわち西洋式紳士服が入ってきて既に150年以上経っており、作り方や着方などにおいて日本独自に進化、いや進化とは言えず、独特の変化をしてきた部分があり、その日本独自に変化したスーツが“日本のスーツ”の特徴と言えるのですが、その独自に変化してしまった故に、世界でのビジネスが出来にくかった、とも言えるように思うのです。

よく考えてみてください。アメリカをはじめ、欧米諸国で作られるスーツは“縫製が悪い”と購入を避けられる向きが日本の皆さまの中にありがちなのですが、一体“縫製が良い”とはどういうことなのでしょう? 自動車や家電をはじめ、日本製品は世界中で最高ランクの品質だと認知されてはおりますが、紳士服についてはどうでしょうか?

それほどに日本製スーツの“縫製が良く”、高い品質だと言われるのでしたら、どうして世界に輸出されてこなかったのでしょうか? 生産コストが高いという声もありますが、サックス・フィフス・アベニューやバーグドルフに行かれればお分かりになれるかと思いますが、高級既製品のスーツは定価5000ドル台後半から8000ドル超えのものまでビックリするような値段で売られています。銀座の有名テーラーの方が安価なくらいなのです。でも、銀座の有名テーラーに外国からの注文が殺到する、といった状況は起きたことはなかったですよね?

“たかがスーツなんて着られればなんだっていいさ”という向きもおありでしょうが、たかが、というモノほど、されど、という部分がありがちなのでは? ご一緒に考えて参りましょう。

それではまた。

(次回は1月30日号掲載)

32523_120089421361491_100000813015286_106219_7322351_n〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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