「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第46回
和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、ますます日本食が注目されるようになっています。日本からのニューヨークへの進出企業案件が増加しているのですが、特に外食産業もしくは、食品メーカーの割合が多いように感じます。このような外食産業の進出の手助けになるかもしれませんので今回はマンハッタンのレストラン傾向についてお話します。
もともと日本人経営のレストラン比率は他の地区と比べて高かったのですが、10年ほど前から韓国人、中国人、その他アジア人経営の日本食レストランが急増しました。今では日本人経営の日本食レストランは全体の2割から3割程度だと思います。マンハッタンには700件ほどの日本食レストランがあるといわれていますので、150件ほどが日本人経営といえるかもしれません。
日本食ブームというのがありますが、日本人以外の外国人が日本食に持っているイメージは、健康、おしゃれなどがあげられるようです。その代表が寿司レストランですが、昔は日本で職人として修行した人がにぎりを中心にサービスをしていたようですが、客層は駐在員または、日本人旅行者が中心で、現地のアメリカ人には生魚というのは抵抗があったようです。そこで、生魚を使わない巻物、代表的なものではカリフォルニアロールというものが作られました。これは生魚を使用せず、カニかまぼこやアボカドを使うという日本にはない発想でした。しかも、そのころのアメリカ人には海苔も抵抗があったようなので、海苔を酢飯の内側に巻く、裏まきというのを考案し、1980年代から、アメリカ人にもすごく人気が出たということです。
このころから日本食ブームと言うものがどんどん盛り上がってきたのですが、シャリの温度や空気の入り方など職人芸が必要なにぎりに比べ、巻物は比較的簡単に作れるので、巻物中心の日本食レストランが急増しました。
ニューヨークが市場なのでアメリカ人の好みに合わせるというのは否定はしませんが、現在では日本食とは到底言えないものも増加している気がします。最近では再び日本で成功している外食企業がニューヨークへの出店を考えるようになり、実際に成功しています。このような実力のある日本食レストランが増えることにより、ニューヨークの日本食のレベルがどんどん上がると現地のアメリカ人も本当の日本食を楽しむことができるのかもしれません。日本食レストランは日本人が中心となって盛り上げていってほしいです。
(次回は12月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。
【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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