脅すような方法や駆け引きで負債の取立は禁止
当事務所には負債取立業者(debt collector)から未払いの請求に関する電話や手紙を受け取った方からの問い合わせがよくあります。もし心当たりがない場合は、identity theft(個人情報盗難)でないかどうかを更に調べる必要があることを伝えます。逆に、もしその負債請求についての心当たりがある場合、事実関係に付いての詳しい説明を要求します。多くの案件の場合、ニューヨーク州法や連邦法で自身を守れるよう一般的なアドバイスをしています。
負債取立業者とは、債権の回収を専門的に行う人物や会社のことを言います。消費者に最初にクレジットを貸し与えて負債を生じさせた債権者は、「負債取立業者」ではないので、連邦規制の対象とはなりません。しかし、債権者は州法では「元金債権者」として、業者と共に州の規制の対象となります。
このコラム内ではごく一般的なことだけを述べますが、負債取立業者と元金債権者は、誤った、欺瞞的な、または誤解させるような表現、または脅すような方法や駆け引きで負債の取立をすることが禁じられています。
初回の連絡でまず、負債取立業者は、負債取立業者であることを消費者に名乗り、収集した全ての情報が負債回収の目的に使用される事を提示することが法律で義務付けられています。さらに、初回に情報が記載されていなかった場合は、負債取立業者は初回の連絡から5日以内に消費者に次の通知を書面にて行わなければなりません:(1)負債額(2)負債が生じた元の債権者(3)消費者が受け取り後30日以内に負債又は負債の一部の有効性に異議を申し立てない限り、その負債が有効であると見なされるという文章(4)通知後30日以内に、負債取立業者に負債額又は負債額の一部の有効性への異議を書面で伝えた場合、負債取立業者は負債の根拠、又は消費者に対する判決書の写しを入手し、消費者に郵送するという文章(5)通知後30日以内に負債取立業者に書面で要請した場合、消費者に(もし現在の債権者と違う場合)元の債権者の名前と住所を提供するという文章
負債の有効性を法的には認められない場合、消費者が負債取立業者に対して異議を争わなくても、裁判所に対して異議を申し立てることができます。消費者が負債の有効性に異議を申し立てる場合、負債取立業者は有効であると確認されるまで、取り立て業務を中止しなければなりません。
消費者保護に違反した負債取立業者と元金債権者は、民法または刑法による罰則対象となることがあります。連邦法では、消費者は負債取立業者の違反によって受けた実質的な被害額と1000ドルまでの追加被害額及び弁護士費用を回復することができます。州法では、消費者保護に違反した元金債権者は軽罪に問われます。
もし負債取立業者あるいは元金債権者が、貴方の権利を侵害していると感じたら、弁護士に相談するのがよいでしょう。もし負債額が返済能力を超えるほどになった場合も、専門弁護士に相談することをお勧めします。
〈今週の執筆者〉(弁護士 マシュー・プレッソー)
(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。
(次回は8月第1週号掲載)
〈今週の執筆事務所〉Miki Dixon & Presseau 法律事務所
122 East 42nd Street, Suite 2515 NY, NY 10168 Tel:212-661-1010 Web:www.mdp-law.com
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