〈コラム〉生演奏に触れよう

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目標が明確になって頑張れる

バイオリンレッスン成功の秘訣〜第9回〜

 

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皆さんは普段、お子さんをコンサートなどに連れていらっしゃるでしょうか? しばしば、当教室に小さなお子さんを連れ、バイオリンを習わせたいという思いでご家族が相談にいらっしゃいます。その親御さんの思いは先生としては大変嬉しい限りですが、ナマの演奏は聞いたことのないお子さんがほとんど。テクノロジーの発達した現代ではYouTubeやiTunesなどを使い、ネットを通して簡単に色々な音楽に触れることができるようになっています。それはそれで便利で良いのですが、時にはコンサートへ足を運び、ナマの演奏に触れることをお勧めします。

例えば、ニューヨークフィルがコンサートで演奏する交響曲の響きを会場で体験するのと、同じ楽曲をCDなどの録音で聴くのには大きな違いがあります。弦楽四重奏などの室内楽コンサートを小さなホールで、演奏者の息づかいの見える距離で見ると音楽の情緒を全身で感じることができます。

バイオリンなどの楽器を習うということはまず、姿勢など、基礎をしっかり習得することが必要なのですが、このコラムでいつも申し上げてきたとおり、時間のかかる作業です。辛抱強さの強いられるその練習した果てに何が待っているのか、お子さんにはなかなか想像できません。見たことがなければ当たり前ですね。日頃から、コンサートへ行ってナマの演奏に触れ、本物の楽器の響きを聴くと、自分の目指す先(目標)がハッキリしてきて練習にも意欲が出るはずです。スポーツ観戦と似ていて、やはりプロの野球やサッカー選手のプレーを見ると子どもが「僕も/私も、あんな風になりたい!」と憧れるのと同じく、プロの演奏にインスピレーションを受けて、「いつかカーネギーホールのステージに立ちたい!」などといった目標を夢に、練習をがんばれるのではないでしょうか?

ただ、小さなお子さんを連れて夜遅くまで続くコンサートにはなかなか行けないというご家族もいらっしゃるかと思います。そのようなご家族向けのプログラムがニューヨークではたくさん行われています。リンカーンセンターでは一年を通して「リンカーンセンター・キッズ」と題して、子ども向け音楽イベント(多くが無料)が開催され、ニューヨークフィルでは「Young People’s Concerts」という名で、下は3歳から参加できるコンサートが企画されています。さらに、音楽の王道、カーネギーホールでは「カーネギー・キッズ」という、2歳から6歳の子ども向けプログラム、そして3歳から10歳向けの「ファミリー・デー」というプログラムなど、(こちらも多くが無料の)様々な、家族参加型イベントが行われています。

ネットでこれらを検索するとたくさんのイベント情報が見つかります。ほとんどが週末、無料で行われるので参加しやすいですね。ニューヨーク以外にお住まいの方も、地元の交響楽団やコンサートホール等のウェブサイトを探せば似たようなプログラムがあるかと思います。芸術の秋。この機にぜひコンサートに行ってみてはいかがでしょう?

(福田千尋バイオリン教室主宰)

福田千尋

【執筆者】ふくだ・ちひろ 福田千尋バイオリン教室主宰。東京芸大、ジュリアード音楽院を経て、ニューヨーク日系人会音楽コンクール優勝等、ヴィオラ奏者として国際的な演奏活動を続ける傍ら2005年よりハーレムの音楽学校Opus 118 Harlem School of Musicでバイオリンを教え始める。同校の若い教師を育てるためのティーチャー・トレーニングプログラムのトレーナーとして後進の指導、弦楽科のコーディネーターとしてマネージメントにも携わっている。
【ウェブ】www.chihirofukuda.com/

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