腹筋だけを鍛えても宝の持ち腐れ

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コアのほんとのお話(1)

〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第14回】

日本でも近年よく聞かれるようになった「コア=core(体幹)」という言葉。身体のトレーニングではよく出てくる単語ですが、「コアとは腹筋のこと」と間違えてしまうことがよくあるようです。

「コアを鍛えるためのトレーニング」として「腹筋トレーニング」が紹介されることが多いために間違いが起きるのかもしれませんが、「コア」は筋肉の名前ではなく、芯・中枢のことだけでもありません。コアの本当の働きは、身体のいろいろな部分がバランス良く、タイミング良く連携しあうことで、スポーツや日常の動作が上手に行える状態を表しています。コアが機能していると、外からの刺激(重力や道にある溝など)にタイミングよく対応できるので怪我になりません。その上、余計な力を使わないため、走るスピードが上がったり、ボールの飛距離が伸びたりもします。

腹筋は確かに身体の真ん中にありますが、腹筋だけを鍛えて強く大きくしても、他の筋肉や骨格とうまく繋がって動ける状態にしておかないと、結局は必要な時に作動しないことになり「宝の持ち腐れ」状態に。ジムに通って筋肉もりもり、いかにも元気そうに見えるのに転んで骨折する方がいたりするのは、こういったことが原因なのです。せっかく作り上げた筋肉の反応が、0.1秒でも遅れると重心がずれて、転んだり、ぎっくり腰などの怪我に繋がります。身体全体が連動して正しく働いてくれるかどうか…。このあたりを上手に鍛えるのが本当の「コア・トレーニング」と言えます。

次回はこの本当のコア・トレーニングについてお話します。

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/

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