始める前に 自分で判断できるお金の教養持とう
社会人になって銀行口座を持っていない、という人はほぼいないと思います。
私たちの多くは銀行に安心感と信頼感を持ってお金を預け、貯金や支払いに使っています。
だから、資産運用も、必要な時は銀行に相談すれば良い、と思っていませんか?
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実は、私が20代の頃、お金のことを学ぼうと決心して、最初に足を運んだのは銀行の窓口でした。銀行にはお金のプロがいるから、お金のことは銀行に聞くのが一番いい、と思ったのです。私が銀行の窓口に行って、自分でもできる資産運用は無いですか? とたずねてみると、積み立て型の投資信託や定期預金などを勧められました。
当時何の知識もなかった私は、銀行の人が話すことは何もかもがもっともらしく聞こえ、実際に勧められた投資信託を買ってみました。しかし、その投資信託はその後、値を下げてしまいました。
私が後悔したのは、値を下げたことよりも、自分の判断ではなく、銀行の人に勧められたという理由で購入したことでした。
銀行の窓口にいる人は中立的な立場でアドバイスをしてくれるわけではなく、彼らはその時々に売るべきノルマの課せられた商品をセールスしているのだ、ということに気づいたのは後の事です。
私たちは銀行の窓口にいる人をすべての金融商品を知り尽くしたアドバイザーのように感じてしまいますが、必ずしもそうではなかったのです。
以上の経験から、私は資産運用を始める前に、まず自分の力で判断できるお金の教養を身につけることが何より肝要である、という考えを持つようになりました。
皆さんも、私と同じ失敗をしないよう、きちんと自分で判断できるお金の教養を身につけて、資産運用に臨んでくださいね。
(次回は4月7日号掲載)
〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac