〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第54回

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NYで本格的なコートを

皆さま、新年明けましておめでとうございます!!! ニューヨークの緯度は日本では東北地方の北方にあたります。道理で寒いはずですね(笑)。日本で求められたコートではちょっと頼りないかな、と新しく買われた方もおられるのでは?
この四半世紀、紳士服は市場で望まれている、つまり消費者の皆さまが欲している、より軽くよりソフトな仕立てを目指し、冬物の生地の厚み、重さが随分軽くなりました。重たい服は嫌というお気持ち充分理解しますが、せっかくニューヨークにおられるのですから本格的なコートを1着お持ちになられてはいかがでしょう。正確にはオーバーコート、またはトップコートと言います。実はコートとは本来、ジャケットの意味なのですね。

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この街ではsports coatという表現をされる向きが、英国系の方を中心にまだまだおられます。sportの意味は、自分の好きなことに打ち込むのが原義でして、皆さんが普段使っているsportsとはちょっと意味が違いますね。sports wearとは、乗馬、フライフィッシングなど上下別々の素材で上着とスラックスを仕立てる、つまり日本で言うところのセパレーツを意味するのです。そして、そのような上着、すなわちcoatのさらに上に羽織るので、私たちが普段、コートと言っている、古い言葉ですが、外套(がいとう)のことをこちらではオーバーコート、またはトップコートと言うのですね。
この街ニューヨークは、こと紳士服に関して、世界中のトップレベルの縫製メーカーがシノギを削っている最激戦区でして、それ故、世界で最も高級紳士服が売れるマーケットなのです。せっかくこうした環境におられるのですから、ぜひ、世界レベルの紳士服についてじかに触れてみられたり、また知識を磨いてご自身の着こなしを一歩も二歩も前進できる絶好のチャンスです。私のような専門家をどんどん利用されるなりして、2014年は公私共に装いに磨きをかけていっていただければと思う次第です。それではまた。
(次回は1月第4週号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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