ゆき姐のHappyに生きまっしょい! 第30回目
東京もやっと秋らしくなりましたが、NYの皆さまいかがお過ごしですか?
この原稿は夜書いているのですが、庭からは鈴虫の声が聞こえ、窓から外を見ると月がぽっかり浮かんでいます。
9月30日は満月でした。そう、中秋の名月ですね。
私が子どもの頃、うちの母はこの日には米粉でお月見団子を作ってくれ、ススキと萩を花瓶にさし、蒸した里芋や果物と一緒にお月さまにお供えしていました。1時間くらいしたらお団子を食べてもよかったので、お醤油に砂糖をたくさん入れてお団子につけて姉と二人でお月さまを見ながらパクパク食べました。とっても美味しかったなあ。
うちの夫は団子も里芋も好きではありませんが、幸い息子は両方大好きなので、今年はお月見団子を作り、蒸かした里芋や果物、ススキや萩と一緒にお月さまにお供えし、その後団子を食べました。これも美味しかったなあ。
さてこの日、日本の様々な地域に残る、『お月見泥棒』という、子どもたちにとってはとても楽しい風習が行われるのをご存知ですか?
昔は、お月さまにお供えしてある、よその家の団子や里芋、果物などを子どもたちが持っていってもいいという風習だったのですが、今は、近所の家にお菓子をもらいに行くというのに変わりました。
私の実家(名古屋)の町内にもこの風習が残っています。
中秋の名月の日、夕方になると玄関の外で、「お月見泥棒に来ました〜!」と、元気な子どもたちの声がします。用意してあったお菓子を持って外に出て行くと、待ってましたとばかりに、「僕も来ました〜!」「私もお月見泥棒で〜す!」と次々に子どもたちがやって来ます。「泥棒で〜す!」と宣言しながらやって来るのもおかしなものですが、たくさん子どもたちがやって来てくれ、お菓子をもらって嬉しそうに、「ありがとうございました〜!」と頭を下げて帰って行く姿をみると、こちらもとても嬉しい気持ちになります。
ところでこの風習、何かと似ていると思いませんか? そう、ハロウィンです。「お月見泥棒に来ました〜!」は、“Trick or treat ! ”ですよね。
『お月見泥棒』、なんだかそちらとつながっているようで、私にとってはとても嬉しく、楽しい日本の風習の一つです。
(次回は11月3日号掲載)
(プロフィール)兵藤ゆき(ひょうどう ゆき)深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに、1982年テレビ界に進出。96年長男誕生後、夫の留学先であるNYで子育てを中心に生活。現在は、NYと日本を行き来し活動中。NYで見た参考になる子育てをまとめた本「子どもがのびのび育つ理由」など著書多数。新刊、NYでの英語体験を漫画とエッセーでまとめた「これで英語がちょっとできるようになりました。」(アスコム出版)も好評発売中。現在、テレビ、ラジオ、執筆などで活躍する傍ら、NYでの子育てや異文化体験の講演依頼も多数あり、全国に出向いて行っている。ストレスフリーをテーマにしたインナーなどのブランド「ゆきねえインク」を立ち上げ、デザイナーとしても活躍中。小学校英語準認定指導者資格、チャイルドコーチングアドバイザー資格、ペット介護士資格、各種洋裁正教員資格を有する。