タイチ不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第39回
夜中、暖房が効かない」「隣の住人うるさい」―。家のトラブルが多いのもニューヨークの物件の特徴です。世界中の人たちが一緒に暮らしているため、住居生活のスタンダードが日本人と違うというのが大きな原因の一つです。例えば、家の奇麗さ。日本人が「少し汚いなー、この部屋」と思うレベルの部屋が、他の国の人からすると「結構、奇麗な方だ」というくらいの違いはよくあります。東京とニューヨークの街を比べれば分かりますが、日本人特有の清潔さ、奇麗さというのは、世界標準と大きく異なっています。
もちろんこれは奇麗さだけではありません。例えば体感温度も違っています。寒い季節でも半袖で歩いている人を一度は見たことがあると思います。これは少し極端な例ですが、日本人が寒いと思う温度が、現地の人にとってはちょうど良かったりということが普通に起こりえるのです。そこで問題になってくるのが暖房を入れる温度。ニューヨークでは法律で大家さんが暖房を入れないといけない最低温度が定められています。逆にいえば、その温度を下回っていなければ、いくら私たち日本人にとって寒く感じたとしても暖房を入れる義務がないのです。もちろん大家さんとしても住人とのトラブルは好ましくないので、ある程度、寒くなったら暖房が入るように設定はしています。それでも寒いと感じたときは大家さんに伝えることになりますが、それですぐに動いてくれるかどうかは大家さんの性格によるところが大きいでしょう。あとは同じ物件に住んでいる住人がどう感じているか。10人中9人が寒いとクレームを言えば大家さんも動かざるをえないと思いますが、それが1人だけの場合はなかなか難しいかもしれません。そんな状況はないだろうと思われるかもしれませんが、実際によく起こっています。
騒音問題も同じで、パーティー文化がない日本人にとってはうるさくても、その文化のある国民にとっては許容範囲ということもあったりします。さすがにこればかりは住んでみないと分かりません。
ですので物件選びの際には誰が住んでいるのか、大家はどんな人かを知る努力は大事なことのように思います。その点、日系不動産を利用すれば、紹介してくれる物件にも日本人が多く住んでいる可能性はありますのでこういったリスクは軽減されるでしょう。
郷に入れば郷に従え、といわれますが、ニューヨークのスタンダードに適応する努力をする。これがストレスフリーな生活をするには大事なことかもしれません。
(タイチ不動産 山本竜也)
(次回は3月第3週号掲載)
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