不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第38回
パリの冬は大家側にとってはなんとも冷たい季節となります。その理由としては、冬季にあたる12月から2月までの2カ月間の間は、大家側はテナント側(および借り手)を「何が何でも追い出すことはできない」と定められた法律があるためです。このような、テナント側を守る法律が定められているのはパリだけではありません。実は、ニューヨーク州にもテナント側を守るための法律がしっかりと定められているのです。
まず、皆さんのアパートメントの賃貸契約書をご覧ください。上部に“Rent Stabilized Lease”との記載があれば、ひとまず安心といえるでしょう。この記載がある契約書の場合、ニューヨーク州のDHCR(Division of Housing and Community Renewal)という機関が大家と借り手との間に立っていることになります。この機関がわれわれテナント側を賃貸の契約時、特に契約の更新の際の家賃の値上げの際に守ってくれるものになります。このDHCRの最大の恩恵としては「家賃の法的な規制」になります。つまり、家賃が法律で定められたある一定の範囲内でしか上昇しない、またはできない、というテナント側にとっては比較的、好都合な内容になっているものになります。アパートの契約の更新時などで家賃が上昇する際、法律で定められた一定の範囲内で家賃が上昇しますので、法外な家賃を大家側から請求させることはまずありえません。この法律は、大都市における「住宅供給の確保」、さらに「住居に関する秩序を守る」ことを最大の目的として定められたものです。この詳しい内容はRSA(Rent Stabilization Associate)という機関のウェブサイトで確認することができます。
今後、新しくアパートを契約する場合、“Rent Stabilized”の契約書で契約が交わされるのか、もしくはそうでないのかを確認することも重要なポイントになってきます。
傾向としてみられるのが日本人は大家に言われることには従い、責任を果たしていなくてもそれを追及できずにいることです。結局、ご自身が損をしてしまっているケースがとても多いのが現状です。しかし、テナントと大家の関係は実はもっと対等であり、「家賃を支払う」というテナントとしての責任を原則として果たしている以上、大家側に責任を追及する権利があることにお気づきください。
何か困り事がありましたらぜひお早めにご相談ください。(次回は2月第3週号掲載)
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