〈コラム〉「起業」に関する法律や手続きについて(2)

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C法人、S法人、LLCについて

前回は個人自営業とパートナーシップについてお話ししました。
今回は、C法人(C Corporation)、S法人(S Corporation)と、一般にLLCと言われる有限責任会社(Limited Liability Company)についてご説明します。
Q 「C法人」とはどのような組織か。また、S法人との違いは。
A いずれも、日本でいう株式会社に当たり、名称に「Inc.」「Corp.」「Ltd. 」のどれかをつけます。
「C法人」は普通法人といわれように、最も一般的な事業組織です。投資家に投資してもらって株券を発行することで資本を集めることができます。また個人自営業やパートナーシップと異なり、出資者は自分の出資の範囲内でのみ会社の債務について責任を負う(有限責任)ので、個人資産が保護されます。
ただし、法人税に加え、株主に対する配当にも税金がかかるといういわゆる二重課税になるわけですが、これを防ぐことができるのが「S法人」です。S法人では、株主への配当時にのみ税金がかかるという利点があります。
S法人としてこのような恩恵を受けるには、まずC法人を設立し、その後2カ月15日以内に、IRSにS法人の申請を行うという手順になりますが、いくつかの条件があります。例えば、株主は全員が米国居住者でなければならず、75人を超えることはできません。
Q 「LLC」とはどのような組織か。
A 「LLC」はパートナーシップとC法人(普通法人)の中間的な組織で、事業を一緒に行う人達が集まって作り、名称の最後に「LLC」をつけます。
LLCでは有限責任が認められ、課税は出資者への配当時のみで二重課税がない上、法人のように決まった形式で運営しなければならないという制約もありません。また、S法人と異なって、非居住者でも出資者となれます。
その反面、他の組織に比べLLCは立ち上げにコストがかかるというデメリットがあります。設立時に業務契約(Operating Agreement)を作成して州に登録する必要がありますが、業務契約の作成は素人には難しく、弁護士に依頼する場合その費用がかかります。また、政府が指定する新聞や雑誌でそのLLCが成立したという告知を行う義務があり(Publication Requirementといいます)、これにも数千ドルがかかる場合があります。
個人自営業、パートナーシップを含め、これらいずれの事業形態によるかは、事業の内容や規模など個別の事情を考慮して判断するべきで、専門家に相談するのが望ましいでしょう。
(次回は6月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉Miki Dixon & Presseau 法律事務所
122 East 42nd Street, Suite 2515 NY, NY 10168 Tel:212-661-1010 Web:www.mdp-law.com

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