節約には「仕組み」化 「固定費」減らすのがカギ
20代のころの私は、本当にお金に苦労していました。原因はズバリ、お金の知性のなかった私自身の浪費グセでした。
家賃の高い人気エリアに引っ越したり、高い車をローンで購入するなどにお金をつぎ込んでいたのです。気がつくと、毎月の支出は収入をはるかに上回り、家賃や電気代にも事欠く始末。
お金を使い果たし、あげくの果ては、足りない分は親からお金を借りて補うというありさま。このままでは家計が破たんしてしまう…。危機感を抱いた私は、お金の節約・管理に取り組みはじめました。
まず、いわゆる「節約本」を読み、とにかくムダな出費を徹底的に省くことにしたのですが、このような方法は、常に節約を意識した生活を行わなければならないことになってしまいます。世の中では「節約」というとき、食費や日用品費、交際費などの「変動費」を削っていくノウハウを教えがちです。
とにかく1カ月、節約を実践してみましたが、得られた成果は小さく、逆に大きなストレスを抱えることになりました。「このままではいけない。何かもっとよい方法はないのか」と考え出したのが、面倒くさがりやの私にもできる「仕組み」なのです。じつは変動費は「仕組み」化しづらいお金だと実感したのです。
一方、固定費は、まさに「仕組み」化で減らせるお金だと思います。住宅や自動車、保険にかかる大きなお金は、一度支出額を決めてしまえば、その後、節約のために毎日頭を悩ませる必要はありませんし、毎月必ず一定額を削減することができるのです。
固定費を減らす「仕組み」をいったんつくったあとで、それから変動費やムダ遣いの削減に取り組むようにしたことによって、私は効率的かつラクに節約が続けられるようになりました。
皆さんも、節約を考える際には、ストレスがたまる細かい変動費の節約よりも、固定費を減らす「仕組み」化を考えてみてくださいね。
(次回は6月第1週号に掲載)
〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac