〈コラム〉米国の公的年金 ソーシャル・セキュリティー制度 自分の将来に準備しておくことが大切

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第20回

米国に居住している方たちから、将来の計画に備え、米国の年金制度に関する質問が多くなっています。米国の年金制度は大きく分けて、公的年金であるソーシャル・セキュリティー(Social Security System)、私的年金である企業年金および個人年金があります。今回はこの公的年金であるソーシャル・セキュリティーについて説明いたします。
ソーシャル・セキュリティー
日本の国民年金制度に近い公的年金制度であり、基本的には米国税法上居住者になると納税の義務が生じます。ただし、日本の社会保険を維持している状態で、米国滞在予定が5年以下の場合は日米社会保障協定により免除される場合があります。ソーシャル・セキュリティー・ベネフィットの受給資格を得るための加入期間には40クレジットが必要で、1年で最高4クレジットが取得できるので、10年間の勤務が必要ということになります。
ソーシャル・セキュリティーの課税はソーシャル・セキュリティー・タックスとメディケア・タックスから構成されます。2013年のソーシャル・セキュリティー・タックスの課税率は被雇用者の場合6.2%ですが、全ての所得に課せられるのではなく、11万3700ドルまでの所得が対象となります。メディケアの課税率は1.45%になり、これについては全ての所得が対象となります。さらに13年は、20万ドル(夫婦合算の場合は25万ドル)以上の所得者については0.9%が上乗せされます。
給付の種類ですが、退職保険、遺族保険、傷害保険、メディケアから構成されます。退職保険は、被保険者が66歳に達した場合に給付を受けることができます。62歳からも前倒しで給付することができますが減額されます。遺族保険は被保険者が死亡した場合、60歳以上の配偶者に給付され、18歳以下の独身の子供にも支給されます。傷害保険は被保険者が病気や障害者になり、通常の生活や仕事を行えない場合は、年齢に関係なく支給されます。メディケアについては、日本の健康保険に相当するもので、66歳に達し、ソーシャル・セキュリティーの給付を受けている場合は自動的に受給できます。
ソーシャル・セキュリティーには、原則全員が加入することになっていますが、給付水準が必ずしも十分とは言えません。さらに年金財政への不安を抱く人が多くなっています。このため私的年金プランを活用して、自分の将来のために貯蓄する傾向が高まっています。自分の将来について準備しておくことが大切です。
(次回は10月第2週号掲載)

(「WEEKLY Biz」2013年9月14日号掲載)
takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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