「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第21回
本文に入る前に、前回(9月14日号掲載)のコラムに誤りがあったことのお詫びと訂正をさせて頂きます。前回はソーシャルセキュリティーについて書かせて頂いたのですが、メディケアの受給年齢に誤りがありました。66歳と書きましたが、65歳の誤りです。間違いを訂正させて頂きます。申し訳ございません。尚、退職保険の受給年齢に関しましては段階的に上がりますので、現状では66歳になっております。
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今回のコラムですが、「会計監査」というものに、あまり馴染みのない方のために、なぜこのようなものが必要であるのか、簡単にご説明させて頂きます。ここで出てくる「会計監査」というのは、公認会計士が行う財務諸表監査を指します。
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企業の業績を表す成績表が財務諸表と呼ばれるものです。業績が良ければ、新しい投資が集まりやすくなり、株の価値が上がります。ただ逆に業績が悪ければ、株は下がり、投資家が逃げてしまいます。また、財務諸表は投資家の判断材料になるだけではなく、銀行が融資を考える場面にも使われます。このように利害関係者の判断基準になるものですので、業績の悪い企業が財務諸表を良く見せるために自社に有利な基準を使おうとしたり、最悪の場合は利益の水増し、損を隠したりという粉飾をすることがあります。投資家や銀行側からすると、企業が勝手な基準で財務諸表を作成したり、粉飾したりしていると判断材料にすることができなくなってしまいます。そこで、利害関係のない第三者である監査法人が、計画していろいろな手法を使い実施調査し、アメリカで一般的に認められている会計基準であるUS GAAP(Generally Accepted Accounting Principal)に沿って財務諸表が正しく作成されているかどうか意見表明をすることを会計監査といいます。いわば、財務諸表を専門家のお墨付きにするというものです。これにより、利害関係者は安心して財務諸表を判断材料にすることができます。アメリカでは「企業は株主のもの」という考え方が強いようなので、株主に目を気にしなければならないのが執行役員の辛いところです。実際にアメリカの一般的な上場企業の組織図では、上から株主、取締役会、執行役員となっており、プレッシャーは厳しく、少しでも利益を大きく見せるために、短期的な利益を求めてしまい、長期的な投資や環境保全など社会に対する貢献への投資を諦めてしまう執行役員も少なくないようです。ただ、結果的に社会貢献にお金を使っている企業は世間に認められ、良い人材が集まり、株価が上がるらしいです。
(次回は11月第2週号掲載)
(「WEEKLY Biz」2013年10月12日号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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