米国移民局(USCIS)は2008年6月16日、ある一定の条件のもとに、移民労働者のI―140(就労ベースの永住権)申請におけるプレミアムプロセスサービスを再開しました。
背景:21世紀米国競争力条例(AC― 21)の項目104 (c)は、I―140申請 が既に許可されている場合、6年間の期限切れをひかえたH―1Bビザ保有者に更なる3年の期限延長を許可するとしています。
米国移民局は現在、H―1Bビザの6年目の期限が切れる60日以内のみ、I―140のプレミアムプロセスサービスを受け付けています。
つまり、6年間の期限を過ぎる全てのH―1Bビザ延長には、I―140の承認が必要とされています。よって、労働許可申請が365日以上前にされている場合、申請者はH―1B ビザ期間を1年延長できますが、プレミアムプロセスサービ スを使用することができません。通常のI―140申請が可能です。
プレミアムプロセスサービスには、追加費用が1000ドルかかりますが、米国移民局は申請受領から15日以内でのプロセスを保証しています(ただし必ずしも許可が下りるという意味ではありません)。
USCISの新「ポータビリティ」制度についての覚書
08年5月30日に発行された覚 書には、I―140が認可された人のために、3年間のH―1Bビザ延長許可に関する諸条件(AC― 21の項目104(c))が明確に記されています。これまで、3年間のビザ延長は1度限りと言及されていましたが、実際のところ、米国移民局(USCIS)は1度以上の延長を許可しています。
今回、08年5月30日の覚書では、申請者は永住権申請が承認されるまで、必要に応じて何度でも3年間の期限延長をUSCISが許可すると明記されています。
さらに、通常の6年間の期限を超えた際、1年ずつの延長を 許可するポータビリティ制度 (AC―21の項目106(a))についても議論されています。ただし、これは労働許可申請又はI―140申請が、少なくとも365日前に申請された場合に適用されます。
また同書には、米国移民局が1年間の期間延長を許可できない場合についても述べられています。
米国移民局は以下の様な結果が出ていない限り、H―1Bの延長を許可します。
①労働許可申請の却下
②承認済みの労働許可申請の無効
③I―140申請の却下
④永住権申請(I―485申請)の却下、及び許諾
⑤労働許可申請の期限切れ(例えば労働許可申請承認後、I―140が180日以内に申請されなかった場合)
永住権申請から180日以降に雇用主を変更する場合
覚書では、申請者が永住権を許可される間に雇用主を変更する場合のポータビリティ制度についても言及しています。
背景:「AC―21」の項目106(c)は、永住権(フォームI―485)の申請を180日以上前にしている場合、新しい職業が申請時と同じ、または似通った雇用主や職業であれば変更することができるとしています。I―485とI―140のフォームは、同時に申請されることがあります。
08年5月30日の覚書には、I―140の申請が既に受理され ている場合にのみ、職業を変更する際、I―140の申請が有効であると記されています。また、180日以降にI―140申請が許可されていない場合(現在9〜12カ月かかる)には、I―140申請が許可されるまでの職業の変更は制限されています。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
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(「WEEKLY Biz」2008年7月25日号掲載)