〈コラム〉E-Verify情報

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最高裁判所とE-Verify法

今年5月26日、米最高裁判所はアリゾナ州内の雇用主が新たに雇用する際、従業員の適正についてE-Verifyでチェックする義務があるとの法律を支持しました。この法律により不法移民を故意に雇おうとする雇用主は営業許可を一時取り消されたり剥奪されることになります。
アリゾナ州合法労働者法(LAWA)では、アリゾナ州内の不法移民の雇用を禁止し、雇用主へは新たな雇用についてE-Verifyで適正をチェックするように義務付けています。また、この法律は故意に不法移民を雇用した雇用主には罰則を与えるとしています。初回の違反については営業許可の一時取り消し、2回目以降はアリゾナ州での営業許可を永久に剥奪するとしています。
アリゾナ州法については、経営者と市民の両擁護団体が、州法は連邦法が統括すべき移民法について法を定めるのは矛盾しているとして反対しています。本来、連邦法が移民法を統括しているからです。よって、州法では移民法についての項目が定められることはありません。しかし、今回の最高裁での解釈は、州法が移民法ではなく「営業許可」に関する法を定めているとしています。

雇用主への影響

アリゾナ州の雇用主は、新たな雇用が適正かどうかE-Verifyでチェックしなければなりません。更に、今回の法を最高裁が支持していることから、その他の州も同様の法を設ける可能性が出てくるでしょう。他州の雇用主は新たな雇用をする場合、E-Verifyをチェックするといった法の要請をご承知おき下さい。最高裁の決定により、いくつかの州はがこの新たな法律を実施していますが、ニューヨーク、イリノイといった州はこのような法律の通過を拒否しています。しかし同法は、E-Verifyによる雇用の適正の確認をすることで、雇用主が政府の規制から身を守るという意味もなしています。

E-Verify セルフチェック

11年3月21日、米国土安全保障省はE-Verifyのセルフチェックの方法を紹介しています。採用手続きの段階では、個人による記録のチェックや修正は禁じられています。
政府の記録から従業員の適正を確認できない場合、雇用主と合法の従業員はセルフチェックにより負担を軽減することができます。従業員ホットラインと併せてセルフチェックすることにより、「不適合」といった問題や合法な従業員の「確認不可」といった問題を解消することができます。今回のE-Verifyシステム、セルフチェック、写真適合ツール等の導入は、雇用主が新たに雇用する際の判断の手助けとなるでしょう。今回の導入は、雇用主にとっては監視の対象となり、更なる負担となるでしょうが、同時に政府の監査から身を守る法律ともいえるでしょう。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
(次回は7月23日号掲載)
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過去の一覧
(「WEEKLY Biz」2011年6月25日号掲載)

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