L―1(企業内転勤)ビザは、海外にある親会社、子会社、または関連会社から密接に関連した米国の姉妹会社に転勤する従業員のためのビザです。L―1ビザは、管理職および役員職(L―1A)、そして「専門知識」を有する従業員(L―1B)の2種類の従業員が申請可能です。ここではL―1Bビザ、即ち専門知識を有する従業員用のビザの必要条件について説明します。
L―1Bビザのスポンサーとなる外国の組織または企業は、ビザ申請前の3年内に少なくとも1年間継続してその従業員を雇用している必要があります。さらに当従業員は、海外の企業の米国支店・子会社または関連会社において、専門知識を必要とするポジションに就いて勤務する必要があります。
「専門的知識」とは、従業員が属する組織の製品・サービス・研究・設備・技術・経営やその他の事柄や国際市場への応用に関する知識、または組織の業務行程に関する高レベルかつ特別な知識を意味します。
上記「専門的知識」の定義は年々狭くなってきています。米国移民局(USCIS)の現在の「専門的知識」の解釈には、下記の必要事項が加えられました。
①業界で一般的に見受けられるものとは異なった知識であること
②非凡な質の珍しい知識であること
③その他の専門家が一般的に知らない知識であること
④米国市場における同社の競争力として不可欠な知識であること
⑤新しい労働者に伝えたり譲渡するのが難しい知識であること
⑥通常ビザのスポンサーである雇用主の経験によってのみ得ることのできる知識であること
L―1Bの専門的知識にかかわる申請に関し、米国移民局は今までより遥かに高い頻度でRequest for Additional Evidence(追加証拠請求)を発行していることを、L―1Bビザを申請する企業に知っておいていただきたいと思います。従って、L―1B申請を進める前にビザの適格性について弁護士としっかり相談することが重要となってきています。考慮すべき重要な点は次の通りです。
•海外における現在のポジション
•米国でのビザにかかわるポジション
•日本の親会社との経験により得ることのできた同企業の製品・サービス・研究活動・設備・経営またはその他の事柄に関する知識
•米国内でのポジションに就くにあたり、前記専門的知識がどう必要となるのか
•一般的な同業者や同企業において、他の従業員と比較しての申請者の知識および養成度―申請者である従業員は日本の他の会社で研修等を受けたかどうか
•申請者である従業員が使用するであろう専門的知識にかかわるツール・製品等の種類―申請者である従業員の日本における国際的ビジネス経験およびそれが米国におけるポジションとどう関係するのか
•日本で与えられた特別な仕事
•日本での表彰経験や昇格歴
•申請者である従業員は政府によって発行される認定書や免許を有しているか
•特別なコースを受講したり教えたりしたことがあるか
•申請者である従業員の大学の学位やその他の教育歴
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
(次回は3月24日号掲載)
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(「WEEKLY Biz」2012年2月25日号掲載)