様々な選択肢のある在外子女の進路
自分に合った進路を選択し、グローバルなフィールドで活躍してほしい
米国の学校では新年度を迎えています。約2カ月前にハイスクールを卒業した生徒の中には、大学生として新生活を始める人もいますし、日本の大学に入学するため受験勉強に励んでいる人もいます。帰国生大学入試は早慶上智大などの人気校を皮切りに9月から入試が始まりますので、9月中に入学先が決まる人たちもいます。一方で、東大や京大、一橋大など名門国立大を目指す人は2月下旬まで受験勉強が続きます。また、日本の大学に9月から入学する人もいます。9月に入学できる大学・学部には英語のみで授業を行うところが目立ちます。早稲田大、上智大の国際教養学部、秋田の公立大である国際教養大などがこれに当たります。このほか、文部科学省の推進する国際化拠点整備事業(グローバル30)に採択された大学でも英語の授業のみで学位が取得できる(卒業できる)コースを設置しています。対象となる13大学はいずれも名門の人気校でもあり注目を集めています。グローバル30に関する詳細はウェブサイト(www.uni.international.mext.go.jp/ja-JP/)を参照ください。
このように米国のハイスクールを卒業すると、大学進学の際には様々な選択肢があります。もちろん、米国の大学に進学する場合には、ハイスクールでの成績やSATやACTなどの統一試験のスコア、つまり英語での学力が必要です。また、米国市民や永住者以外は、州立大学でも学費が高額であるという問題もあります。しかし、米国の大学を卒業すれば、全世界に活躍の場が広がる可能性があります。一方、大多数の日本の大学に進学するためには、日本語で講義を受講したり、専門書を読んだり、リポートや論文を書いたりする力が必要です。ハイスクールに通学しながら日本語での学習をすることは容易なことではありませんが、帰国生入試は国内生の受験する入試に比べれば与みしやすいともいえます。日本の大学に進学したいが日本語より英語の方が得意という人や、日本に帰国してからも海外で培った英語力を維持したいという人には、英語で授業を受けられる大学・学部は魅力的な存在です。このような大学・学部の卒業生は、かつて企業から敬遠されたこともありましたが、社内で英語を使用する企業や外国人を積極的に採用する企業が増加傾向にありますので、むしろ就職面でも有利だといえます。大学卒業予定者の就職内定率の全国平均が約60%という時でも、国際教養大では100%就職が内定していたことは注目されました。
米国で暮らし学ぶ子どもたちには、自分に合った進路を的確に選択し、海外で培った語学力と多文化社会での体験を大いに活かしてグローバルなフィールドで活躍してほしいと思います。
(次回は9月第4週号掲載)(「WEEKLY Biz」2013年8月24日号掲載)
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