「貯める力」を養う 金銭感覚を失わない「仕組み」をつくろう
「お金を稼ぐ力と、お金を貯める力とは、まったく別の能力である」ということを知ったとき、お金に対する考え方が大きく変わりました。収入さえ増えれば、お金の問題がすべて解決するわけではありません。
どんなに「稼ぐ力」が高まったとしても、「貯める力」が弱ければ、自分のお金を増やしていくことは困難だと思います。もちろん逆に「貯める力」が強くなったとしても、「稼ぐ力」が弱まった場合でもお金を増やすのはむずかしいでしょう。
「稼ぐ力」をアップさせることはもちろん大切ですが、まずは「貯める力」を養うことが先決ではないでしょうか? そう考えて私は、家計簿にお金の記録をつけて、自分のお金の現実や習慣を見つめ直すことをはじめていきました。そのうち徐々にお金が貯まるようになっていったのです。
収入が増えても、支出が増えないような「仕組み」をつくれば、「貯める力」は高まっていきます。まずは毎月使えるお金の限度を設定して、生活水準を上げないようにすることからはじめてみたらどうでしょうか? そうすれば、たとえ給料が上がっても、社会人になりたての金銭感覚をキープしてさえいれば、変わることなくお金を貯めることができると思います。
とはいうものの、年齢を重ねればライフスタイルも変わりますし、結婚して子どもができたり、住まいを購入したりすると、支出もある程度増やさなければならなくなる場合も出てくるでしょう。節約は確かに必要ですが、自分の楽しみのために使いたいというのも、誰もが持つ当たり前の感覚だと思います。
そこで私は、収入が上がり、事情により支出増が必要になった場合には、収入の上がった分の20%だけ支出を増やしてもよいというルールを自分につくりました。
皆さんも、ぜひ支出のルールを決めて、毎月支出の額を「固定費化」しておき、着実にお金を増やしていってくださいね。
(次回は7月第1週号に掲載)
〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac