股関節を守る! 手術なしで自己治療!
「人間の体には理解できない驚異的な仕組みがある」
腰痛がひどいので病院に行き診てもらったら、「手術を勧められ、新しい股関節を装着した」という話を最近よく耳にします。それは、私にとって非常に残念に思います。何故ならば、当院の経験上からしてかなりの人たちが、手術をしなくても痛みは和らぎ、軟骨は成長し、骨は自己修復することができると信じるからです。
正常な股関節はどんなに激しく動かしても、摩耗したり、熱を持ったり油が切れたようにギシギシいったりすることはありません。しかし、股関節が正常でなく亜脱臼していたり、靭帯や筋肉群が硬直して、脚がガクガク、よく歩けないにもかかわらず、何年も無理を重ねる人がいます。やがて炎症が起こり、軟骨がすり減り、骨同士がこすれ合い、痛みが増して、歩くのに一層困難をきたす結果になります。
病院での診断で代表的な症状が、変形性股関節症、股関節包の炎症、股関節脱臼症です。股関節間の軟骨が摩耗してしまい、骨と骨が擦れ合う状態で痛みが生じていて、末期の症状では手術が必要になりますが、初期の症状では良くなる可能性が十分にあります。よく、レントゲン図を持参される方がいますが、それは症状(痛みの箇所)であり、痛みを作っている本当の原因は、別のところにあります。熟達した施術師の触診でその原因が分かります。
【実際の例】 Mさん(男性カメラマン、当時40代後半) 社会派写真家で各地を飛び歩き、相当忙しい生活を送っていた。当時の写真機材は重く、運搬するにも重労働であった。十数年程前に仕事が忙しい時期、過度なスケジュール、寝不足が続いた結果、腰痛/股関節を痛めてしまった。以後、仕事はキャンセルとなり、家庭や社会生活にも不自由をきたした。病院での診断は、変形性股関節症で手術を勧められた。本人は「手術だけはしたくない」という強い意志がありいろいろな、鍼灸、カイロ、フィジカルセラピー、ヨガ、施術所を探し歩き、最終的に来院。
当院の診察は、Mさんに重度な股関節の転位/亜脱臼があり、足腰の靭帯や筋肉の硬直、骨格(骨盤)の転位/捻転をしていた。このような状態であれば当然、変形性股関節症、股関節炎症にもなり、放っておけば実際に痛みがひどくなり、やがては歩けなくなるのは必至だった。施術は整体で足腰周辺部の靭帯や筋肉緩解、骨盤バランスの調整、左右の股関節の転位/亜脱臼を自然な位置に戻した。数回の治療で、股関節の可動域が回復、骨盤バランス、左右脚の長さは同じになり、同時に痛みはなくなり、歩くのも楽になった。更に毎日の骨盤のストレッチ、スクワット(毎日200回)等で、特に腸腰筋、大臀筋等の柔軟、股間節バランスと強化運動をするように指示。以後、Mさんの日常の運動やストレッチ実践・努力もあり、十数年後の今でも、手術なしの健康な股関節で活躍中。
(次回は7月第1週号掲載)
〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。