口腔がん
平常時の口内粘膜の状態を自分でチェック
米国国立がん研究所は、2012年に米国内で約4万人が口腔がんと診断されるだろうと推定しています。
口腔がんは口の中や喉に発見されます。虫歯を初期の原因とするものや、人体の他の部位からの転移によって発達するがん組織と考えられます。
定期健診の際、慣例的に歯科医師は虫歯の検査と合わせて頭と首にがんの兆候がないか外側から検査します。口腔がんは早期発見であるほど治療が簡単に済みますので、定期的な歯の検診を受けていれば疑い深い部分を早急に見つけることができます。資格をもった専門職による口腔がん検査は5分と掛かりません。診察によるもので、体内に器具を挿入する必要もありません。もしもがんの疑いがあった場合は、歯科医師が付加的な検査器具を使用するか、それ以上の生体組織検査のために口腔外科医師に紹介をするでしょう。
口腔がんや喉のがんの兆候としては、炎症が長引いたり出血しやすくなることがあります。粘膜が厚くなる、腫れたり部分的に硬くなる、割れ目、瘡蓋またはざらざらした部分がある、麻痺、痛みや刺激を感じる、または噛み合わせの際に違和感を感じるなどが挙げられます。または、皮膚に傷があったり、口内炎が2週間以上続き口内が色あせたり赤黒くなったり、また両方の変色が観られることもあります。傷がある場合、初めは痛みがなくても、後から痛みや焼けるような感じに進展することがあります。加えて、噛んだり、飲み込んだり、話したり、舌やあごを動かす時に問題がある場合にも歯科医師や医師に相談してください。
口腔がんは、アルコール、吸引するタバコや噛みタバコの量を減らしたり、完全にやめることで防ぐことができます。口腔がんの原因となるその他の要因としては、口内が不潔であること、栄養不足、歯のざらざらした表面による舌や口内組織の炎症 、調整されていない入れ歯、細菌や病原体からの感染なども挙げられます。口腔がんが初期のものと診断されれば、通常とても効果的に治療できます。
口腔がんと診断されても、がんの治療が始まる前に歯科医師の検診を受けて、炎症部分や変化を日々チェックすべきです。大事なことは、常に口の中に水分を保つことです。十分に水を飲み、氷をしゃぶったり、糖分抜きのガムや飴を舐めたり、可能であれば代用唾液でも水分を補給します。
さらなる重要点として、次のように口内を清潔に保つことです。毎食後と就寝前に歯茎、歯、そして舌も磨く。フッ素入りの歯磨き粉や歯科医に処方されたフッ素入りのジェルを使う。アルコール入りのマウスウオッシュを避ける。デンタルフロスを毎日使うことも重要です。入れ歯をしていて歯にうまく合っていない場合は、すぐに歯科医に矯正してもらいましょう。
口腔がんは早期発見、早期治療が何よりも大事です。口腔がんの認識を高め、平常時の口内粘膜の状態を自分でチェックすることが最善の策でしょう。
〈プロフィル〉古川理香(ふるかわ りか) メリーランド大学ボルチモア校歯学部卒業。AGD、ADA、NYSDA会員。ニューヨークで歯科医として「Rika Furukawa, DDS, LLC.」開業。