〈コラム〉「COACH A」竹内 健 「対話で変える!」第8回

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対話の力(8) 〝フィードバック〟(その3)

こんにちは。COACH Aの竹内です。今号では、私が“フィードバック”を受け取れるようになれたきっかけをご紹介したいと思います。
フィードバックを受け出した当初は、「今度はどんなことを言われるんだろう」、「イヤだな」と、そんなことばかり考えていました。フィードバックをくれる相手に対しても、「じゃあ、自分はどうなの?」と、相手にベクトルを向けることによって、自分が傷つくことから守ろうとしていたように思います。
ところが、一定期間を過ぎたあたりから、だんだんとフィードバックを素直に受けとめることができるようになってきた自分に気づきました。以前のように、顔が引きつったり、額に汗をかいたりすることが少なくなってきたのです。
よくよく考えてみると、それはフィードバックをくれる相手との関係性の変化が大きい要因でした。時間が経つにつれ、お互いのことをより知り合うことにより、相手との信頼関係が強まり、両者同意の上で、フィードバックのやりとりが行われるようになっていたのです。
さらに振り返ってみると、相手の話し方、態度も、当初のそれとは異なっていたように思います。つまり、より丁寧に受ける方からの同意を得て、受け取りやすいような話し方や言葉を使ってフィードバックをしてくれるように変化していった気がします。
そうすると、フィードバックを受ける側である私の中で相手に対する安心感がベースにでき、その上で受け取ったフィードバックを役立てようとする冷静さを保てるようになっていきました。
フィードバックとは、受け取る側のゴール達成や改善のために、第三者からの視点や見え方を共有することです。この概念自体を両者が理解していることは必要最低条件ですが、それを本当に機能させるためには、それだけでは十分ではないのかもしれません。両者の間に“信頼”という関係性のベースがあって初めてフィードバックを活かしていくことができるのではないでしょうか。
フィードバックは、非常にセンシティブで、感情に影響するものです。だからこそ、まずはお互いを思いやり、信頼、安心を感じあえるような関係を結ぶこと、それがとても大切なことだと思います。(次回は7月第4週号掲載)
02222coach_a 〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人 への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。
【ウェブ】www.coacha.com/usa/

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