〈コラム〉「COACH A」竹内 健 「対話で変える!」第9回

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対話の力(9) 〝フィードバック〟(その4)

こんにちは。COACH Aの竹内です。皆さんは、同僚や部下の仕事に関して、自分が感じた違和感や気づいたことを、どう伝えていますか? 今号では、相手が受けとめやすいフィードバックの伝え方についてお話します。
かつて、私の同僚の女性が突然、「フィードバックだけど、あなたのこのメールは、私が悪いようなニュアンスを発しているように読める」と、メールを送ってきました。
フィードバックには幾つか種類がありますが、その内の一つは、相手のある行為や態度に対して、自分が思ったことや感じたことを、そのまま伝えることです。このケースでは、彼女が私に対して“感じた”ことを、すぐに伝えておくことが大事だと考え、即座にメールをしてきてくれたようです。
このように、フィードバックはできるだけタイムリーに相手に伝えることが重要だと思います。時間を置いてからでは、“感じた”ことの記憶もだんだんと薄れていったり、伝えたかったポイントが不明瞭になっていったりすることがあるからです。
一方、このケースにおいて、相手(私)がさらに受けとめやすいように、フィードバックを伝える側が工夫できることについて考えてみましょう。
伝える媒体として、彼女はメールを選択したわけですが、できるだけ対面で伝える方が有効かもしれません。フィードバックをした時の相手の“反応”を見ながらその場で対話を続けていけるので、お互いの思いや価値を擦り合わせることができやすいと思うからです。メールの場合、細かいニュアンスが伝わらないことがある上、フィードバックする側からの一方通行のコミュニケーションになってしまいがちです。実際、彼女も先のメールを送ってきた後、直接会って話をしようと言ってきてくれました。
さらに、伝える媒体以上に大切なことがあります。フィードバックとは、それが事実かどうかではなく、伝える側からどう見えたか、どう感じたかを表したものだということを、その相手にしっかり理解してもらうことです。「私の感覚ですが」、「私が感じたことですが」といったフレーズを入れるだけで、相手の受容性は高まります。メールで伝えざるを得ない場合には、こうしたことを明示して相手に伝えることがポイントになるでしょう。
次回は、フィードバックに付きものの“フィルター”と、フィードバックを受ける側にはどんな選択肢があるのかについてお話します。
(次回は8月第4週号掲載)
02222coach_a 〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人 への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。
【ウェブ】www.coacha.com/usa/

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